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 第百十三回 電子ゴミ


中国のゴミの量が急増しています。現在、都市部で発生する総量は年間1億2千万トン で、毎年8%の割合で増加し、既に世界のゴミの4分の1以上に達していますが、無害化 処理能力は僅か15.6%に過ぎません。ゴミ処理の効率化を図り、環境汚染に歯止めを かけようと、7年前に<中華人民共和国固体廃物汚染環境防治法>が施行されました が、余り徹底されませんでした。そんな状況をがらりと変えたのが2003年前半のサ−ズ騒動。医療ゴミの処理なども含め、環境衛生に対する意識が急速に高まり、ゴミの 分別収集も急速に普及するようになりました。
中国では、ゴミを"可回収"(資源)ゴミ、"厨余"(なま)ゴミ、"有害"ゴミ、"其他" のゴミの4種に大別しますが、その中で住民の健康に影響する有害ゴミとして今年にな って特にクローズアップされたのが家電ゴミ。中国では、今、多くの家電機器が買い 替え期に入り、携帯電話に至っては毎年7000万台が廃棄されます。これら"電子ゴミ" には、鉛、カドミウム、水銀、六価クロムなど多くの有害物質が含まれ、たった一台 のコンピュ−タに300種以上の有害な化学物質や1kg以上の鉛が含まれているとのこと。 廃品となった家電類は、ほとんどリヤカ−などで巡回している街の廃品回収業者に引 き取られます。そして、一部は修理されて、北京の双竜中古品交易市場のような場所 で取引されたり、直接、農村などへ売られていきます。問題は解体処理で、硫酸につ けて処理された後、廃液は垂れ流しにされ、地中に滲み込んだり、河を汚染したりし てます。
最近、中国でも"生産者延伸責任"という言葉が聴かれるようになりました。2003年、 ノキア、モトロ−ラ、ハイア−ル等7社の携帯電話企業が人民大会堂で<携帯電話環境 保護活動の展開に関する呼びかけ>を行い、無害化回収に向けた行動を起こしまし た。ノキアは既に2002年末に中国全土98都市で160の回収箱を設置しており、モト ロ−ラも主要都市のサ−ビスセンタ−で回収業務を開始しています。
2003年8月、国家環境保護局は、クロムを扱う企業に厳しい通達を出し、過去に遡って、関連産業廃棄物の再処理を求めましたが、中国に進出する日本企業も、この点に 十分配慮し、使用化学物質の転換や必要処理経費の算定に留意する必要がありそうです。

三瀦先生のコラム