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第1143回 科学技術研究成果の実用化-その2-

(2024年11月7日)

 2021年11月に開催された19期六中全会は、政府と市場がよりよく手を握り合い、科学技術の発展と経済・社会の発展を本格的に融合させ、科学技術の強みが経済の強み、国家の強みへとつながる道を切り開き、改革によってイノベーション活力を喚起することを謳いました。
 中国人の目から見れば、現代の中国は、モバイル、新エネルギー、ハイエンド装備品など戦略的産業のスマート化を重要な専門技術が支え、AI技術は製造・物流・交通などのAI化を本格的にバックアップし、5G、ビッグデータ、ブロックチェーンなどの技術の融合と応用はデジタル経済の盛んな発展を推進しており、科学技術研究成果の実用化こそがイノベーションのパワーを解き放ち、発展を進める原動力であることをはっきり証明しているのです。2021年の国家重点開発計画850プロジェクトのうち、企業がリーダーシップを発揮したのは680項目(79%)に達していました。
 スマート化の目覚ましい普及は都市建設や港湾など随所に見られます。顕著な発展を見せている一つが炭鉱で、2022年春には全国813カ所でスマート化が進み(2020年比65%増)、29種類ものロボットが採掘現場で働いています。政府は<炭鉱スマート化指南(2021年版)>や<第14次5ヵ年ロボット産業発展計画>などでスマート鉱山化を進めており、山西・内蒙古・山東・河南・陝西など14の省が相次いで関連政策を打ち出しています。  
 教育機関の場合、研究面での産学協同と並行して、人材養成の産学共同も急務。2023年、国家交通装備産業産業教育融合共同体が江蘇省の常州で成立しました。これは国レベルでは初の産業教育融合共同体で、2022年に政府が打ち出した<現代職業教育体系の建設と改革を深める意見>にあった<一体両翼>(一体:省域現代職業教育体系構築の新方式、両翼:市地域産業教育連合体と業界産業教育共同体)に沿った措置です。  
 2024年3月時点で、中国のユニコーン企業(設立して10年未満で、100億ドル以上の価値がある企業)は369社、世界のユニコーン企業の4分の1を超えています。同年7月に開催された中央政治局会議ではガゼル企業やこうしたユニコーン企業を積極的に支持する方針が示されましたが、経済が低迷する中、中国にとって先端企業の育成は将来を左右する重要な課題と言えましょう。

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