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第1146回 循環経済の発展-その2-
(2024年11月27日)
2020年9月に新固体廃棄物法が実施されましたが、それがなかなか効力を発しなかった原因は、その理念が地方の政府や民衆にうまく浸透していなかったこと、法律制度の具体的実施が遅れていたこと、インフラが不十分で分別や輸送が追い付かなかったこと、廃棄物の無害化処理能力が不足していたこと、細部を網羅する関連法規や基準が未整備だったこと、司法の力不足や、制度を確立し運営するための資金不足などが挙げられます。しかし、そういった中でも2022年には、鉄・プラスチック・紙などの回収利用量が3.9億トン、その額は9400億元に達し、工業生産原材料の重要な資源になり始めました。これに合わせて、全国の廃棄物選別センターも大小合わせて3700カ所に増えました。
2024年2月、国務院は<廃棄物循環利用体系構築を加速する意見>を通達、2025年には、鉱山・製造業・建築業・農業(藁や茎)など大口固体廃棄物の年間利用量を40億トンに、新規増加分の利用率を60%に引き上げ、又、各種金属や紙・プラスチック・ゴム・ガラス類といった資源の再利用量も4.5億トンに引き上げ、これにより年間で5兆元の価値が創出される、としました。さらに2030年はこれらの面で先進国並みの水準を達成するとも謳い、そのために、①綿密な管理と効果的回収 ②資源化と再利用のレベルアップ ③使用済み電池など重点廃棄物の回収強化 ④資源循環利用企業の育成 ⑤政策システムの高度化、などを提唱しました。
こうした動きに合わせ、同年春、生態環境部は<固体廃棄物の分類とコード番号目録>を発表、初めて、5大種別・三級分類という枠組みを示しました。5大種別とは、工業廃棄物・生活ゴミ・建築ゴミ・農業固体廃棄物・その他の廃棄物で、これらはさらに35類、200種余りに分けられています。これらのゴミの回収における難点は、都市化事業や、都市再生事業が盛んに行われている中国では、発生する膨大な建築ゴミを再利用に回すより、埋め立てるほうがコストがかからないという、日本でも問題になっている点です。北方のある市では償却処理を除いた建築ゴミ再生処理能力が100万トンあるにもかかわらず、持ち込まれる量は6万トンに過ぎません。その上、建築業界では再生原料の使用を禁止している企業もあり、これを是正するには、法の網を厳重にかぶせるしかないでしょう。
さらに詳しい個別のテーマについてはまた次回に。