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第1147回 循環経済の発展-その 3-

(2024年12月5日)

 近年、中国では深圳市など11都市と雄安新区など5つの特殊地区が“無廃都市”(廃棄物ゼロ都市)建設の実験に取り組み、<第14次5ヵ年計画期“無廃都市”建設作業プラン>では、100余りの地方級市を“無廃都市”にする方針が打ち出されました


 廃棄物の中でも特に注目を集めているのが家電・電子製品です。使用済みのスマホ、冷蔵庫、パソコンなどは、従来、廃品回収された後、勝手に分解され、環境汚染の原因になっていました。2020年には、こういった廃棄家電・電子製品の数が7.16億台に達していました。 


 こういった状況が続く中、ここ数年、停滞する経済の活性化の切り札として、家電製品の買い替えが政府によってしきりに促されるようになりました。買い替えは大量の中古家電類を生み出しますが、その中には再利用が可能な物件も少なくありません。これらを修理再生することは貧困救済の重要な手段の一つにもなります。こういった事情から、家具類の中古市場がにわかに脚光を浴び始めました。スマホを例に挙げれば、2025年までの第14次5ヵ年計画期間に使用されないまま放置されるスマホの数は60億台にも上り、これを修理再生させて売買するか、分解して貴重な鉱物を取り出せば、その利益は計り知れませんが、その回収率はまだ低く、中古品としての再生率は5%にしか及んでいません。  

 
 家電に限らず、他の物品でも循環再利用の運動が繰り広げられています。2022年、政府は<廃棄紡績品の循環地用加速に関する実施意見>を出し、生産・回収・総合利用の3段階に分けた9項目の具体的措置を打ち出し、2025年には循環利用率を25%に、再生繊維量を200万トンにひきあげる、としました。又、各地に衣服の回収箱が設けられ、慈善事業にも回されていますが、違法に設置して横流ししたり、消毒せずに再流通させるなど、問題も少なくありません。  

 
 電池も主要な再生資源の一つ。例えば、2023年の中国の鉛生産量は756.4万トンですが、その内99万トンは電池から回収されたもの。また、リチウム電池は様々な鉱物資源の宝庫で、これを如何に無駄なく再利用するかは大きなテーマになっています。新エネルギー自動車の生産量が飛躍的に増える中、その動力電池の回収は重要な課題であり、中国政府はその使用から廃棄・再生に至る観測網を既に確立、多様な回収ネットワークもその姿を見せ始めています。

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