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第1148回 広西チワン族自治区の発展-その1-
(2024年12月12日)
1999年に当時の江沢民総書記が提唱し、2000年に承認された西部大開発計画。経済的に立ち遅れた「大西南」と言われる広大な地域の開発・発展は、鄧小平が「第二の大局」と位置付けた、改革開放路線の重要なステップでもありました。その一角を占めるのが広西チワン族自治区。ベトナムと国境を接してASEANとの出入り口になるだけでなく、南は北部湾(トンキン湾)に面する海の玄関でもあり、又、東は広東省と境を接し、ASEANと珠江デルタを結ぶ重要なルートにもなっています。一方、北は貴州省を通って重慶に至り、長江上流経済圏(成渝経済圏)の海への出口にもなっています。こうして東西南北の重要な物流の交差点となった同区は、近年、目覚ましい発展を遂げています。2017年4月、習近平総書記は同地区を視察、この独特の利点を生かした発展を目指すよう指示、翌2018年5月には、北部湾欽州港駅を出発した中欧高速貨物列車がポーランドを経てドイツに至りました。
北部湾には北海・欽州・防城という三つの大きな港があります。中国西部地域の物流が大発展し、西部陸海幹線ルートにおける北部湾の重要性が飛躍的に高まるにつれ、この三大港を一体化させて、地理的配置、総合的なハブとしての役割、臨海産業システムなどを合理的に考慮しようという動きが顕著になりました。2019年7月、広西チワン族自治区政府は<北欽防一体化とハイレベルな発展&質の高い発展に関する意見><広西北部湾経済区北欽防一体化発展計画2019-2025>を発表し、新たな取り組みを開始しました。こうした動きに呼応して、同年8月、国務院も<中国(広西)自由貿易試験区全体プラン>を打ち出し、同試験区の設置を承認しました。同区の鹿心社党書記は記者に質問に、この試験区の役割は、①ASEAN向けの国際的な投資貿易先導区 ②ASEAN向け人民元国際化の窓口 ③沿辺開放の牽引的役割 ④海運経済集積地 ⑤デジタル産業集積群建設とASEANとの協力による国際医療、教育・スポーツ、文化観光などの現代サービス業体系の構築 ⑥陸海幹線物流ルートの海の玄関口の建設 の5つであると答えています。
こうした動きの中、同区は区内のインフラ整備にも意欲的に取り組み、2020年には、県域自動車道を4100キロ建設に、さらに2030年までには13400キロにする計画を発表する一方、2019年7月には、区内すべての村にテレビ放送用光ケーブルが開通したのです。