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第1150回 雲南省の発展

(2024年12月26日)

 国務院が<中国(雲南)自由貿易試験区総合プラン>を発表したのは2019年のこと。このプランは東南アジア、西南アジアに対するハブとしての役割を期待したもので、同年上半期、雲南省のGDPは前年同期比9.2%増と全国一の伸びを示しました。漢民族が67%を占めるほか、イ族(11%)、ペー族(3.6%)、ハニ族(3.4%)、チワン族(2.7%)、タイ族(2.7%)、ミャオ族(2.5%)などの少数民族を抱える雲南省は、広西チワン族自治区の西隣に位置し、ベトナム、ラオス、ミャンマーなどの国々と国境を接し、中国―ベトナム、中国―ラオスータイ、中国―ミャンマー、中国―ミャンマーーバングラデシューインドなどの経済回廊建設に積極的に関わることで、東南アジアから西南アジア一帯に関わるハブとなり、それにより中国西南国境地区の発展を図ろうとしています。


 雲南自由貿易試験区は昆明地区・紅河地区・德宏地区の三地区で構成され、昆明地区は空港経済と連動し、ハイエンド製造・航空物流・デジタル経済を柱として、東南アジアや西南アジアとの情報・物流でハブ的役割を果たし、紅河地区は紅河総合保税区や、蒙自経済技術開発区と協力してASEAN向けの加工製造基地、商業物流センターや、中国―ベトナム経済回廊イノベーション協力モデル区の建設に全力を挙げ、德宏地区は、越境Eコマースや越境産業エネルギー協力、さらに越境金融といった産業を重点的に発展させ、国境沿いの開放先行区及び中国―ミャンマー経済回廊の玄関口を形成していきます。


 経済発展が遅れていた雲南省ですが、シリコン、リン、リチウムなどの豊富な鉱産資源は今後の経済発展の有力な起爆剤になります。グリーンエネルギーはすでに雲南一の基幹産業に躍進し、2022年には、曲靖市の新エネルギー電池およびシリコン系太陽光発電産業の生産額がどちらも200%以上増加しました。また、昆明市安寧産業園区では新エネルギー電池などの産業の発展が加速しています。  

 
 貧困脱出に苦闘した同省も、2022年の公式発表によれば、それまでの10年間で、933万人の貧困者、8502の貧困県が全て貧困から脱出し、150万人が移住し、絶対的な貧困(相対的な貧困ではない)は解決された、とのこと。交通インフラでは、省内に26万キロの農村自動車道(全国第二位)も整備され、同年11月には、それまで郵便物が届かなかった2000以上の自然村にも配達されるようになりました。

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