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第1153回 2025年12月中央経済工作会議-その3-

(2025年1月16日)

 財政面に置いては従来の3%を超えて財政赤字比率を引き上げ、金融面では「適度な金融緩和」を実施して、預金準備率や金利を引き下げて流動性を高める政策は即効的効果があります。現実に既述の去年9月末以降の金融緩和策の結果、自動車の販売台数や、日本からの対中国輸出の伸び率は11月までの2カ月で増加傾向が顕著ですが、一方で、消費小売総額の伸び率は10月に急増したものの、11月には鈍化傾向にあり、製造業PMIはほぼ横ばい、非製造業PMIに至っては微減傾向にあります。又、年単位で見た場合、外資導入率の落ち込みは著しく、30%近く下落しています。


 今後求められるのは、長期的な視野に立った具体的な政策の推進であり、言葉を換えれば、息の長い大規模な需要拡大ができるかどうかにかかってきます。企業向け対策を積極的に進めても、それが国民の所得に正しく反映され、依然高い水準を保っている国民の貯蓄、即ち財布の紐を緩めることができなければ、すぐガス欠を起こしてしまいます。


 翌2023年の中央経済工作会議は、第一が科学技術の革新による現代化産業システムの構築、第二が内需の拡大、第三が領域改革による国有・民営企業の活力強化、第四がハイレベルの対外開放、第五位が不動産問題・地方債務危機・中小金融機関危機の一括解消となっていました。  

 
 これらの順位の推移を比較してみると、内需拡大は1→2→1位と変動、科学技術の革新や現代化産業システムは2-1-2位、経済改革の推進は5-5-3位、対外開放が4-4-4位、不動産対策は、前二回は5位に含まれていましたが、今回は独立して5位にランクされました。この変動から、内需振興が依然として最大の課題であること、経済改革重視がランクアップしたとともに、不動産問題が個別テーマとして5位以内にランクインしたことなどが見て取れます


 内需拡大については全方位で取り組む意気込みが示され、消費特別キャンペーンの実施、中低所得層の所得増と負担軽減、年金額の引き上げ、医療補助基準の引き上げなど社会保障面での改革を絡めた消費拡大を図る一方、“両新”政策(大規模設備の更新政策と消費財の買い替え政策)を実施し、文化観光を推進し、“首発経済”(新ビジネスモデルなどで新たな経済利益を生み出すこと)、“氷雪経済”(冬季スポーツなどの産業)、“銀髪経済”(シルバー産業)を積極的に発展させることが掲げられています。経済対策には、以前独立項目だった国有企業の強化発展や民営経済促進法制定による民営経済サポートなどと共に、全国統一市場の建設や、プラットフォーム経済の健全な発展、財税改革の計画的推進と地方の自主財力の強化などが歌われました。この続きは次回に。

三瀦先生のコラム