企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第1156回 中国小売業この10年―その2-

(2025年2月6日)

 2017年になると、調整期を経た小売り業リアルショップの販売額は前年比4.6%に回復し、デパートやスーパーの4%未満に対し、専業店や専売店は6%以上の伸びを示しました。ネットショップが32.2%増と依然史上最高を記録する一方で、リアルショップも閉店ラッシュを脱し始めたのです。こうした背景には、リアルショップが消費体験を増やし、質の高さや安全性、確実性を高めたほか、中小都市への進出など、地域の選択も進めたことが奏功したと言えます。業界筋は2017年を新たな小売業スタートの年、2018年はそれを進化させる年、と位置付けました
 こうした中、飲食業のチェーン店は2018年から2020年にかけて毎年二桁増を示し、注目を集めました。この期間はコロナの流行した期間で、経済の低迷も続き、消費者の安くて安全でおいしい店というニーズに合致したと考えられます。中国の外食チェーン大手の「百勝中国」はピザハット店で一枚19元の小サイズのピザを2024年から提供し始め、一人客の取り込みとともに、同年内に200店に倍増する計画を立てました。又、サイゼリアは倹約志向に合わせ低価格戦略を展開して、同年上半期は58%の増益となりました。
 コンビニ業界も新たな動きを見せました。中国企業が次々と台頭、規模を拡大し、地場最大手の美宜佳は2022年には3万店と、中国コンビニ市場の約10%を占めるに至りました。一方、日本のファミマは同年、2666店と10位に後退しています。  
 2022年、政府は<第14次5ヵ年計画現代流通体系建設プラン>を発表、大型スーパーなどのチェーン店に、ネット、クラウド、人工知能などを利用し、オンラインとオフラインの競争と協力を推進する総合的な発展へとモデルチェンジするよう呼びかけるととに、デパート、ショッピングセンター、大型家具店などは、社交の場、家庭消費の場、流行消費の場、文化消費の場へとモデルチェンジするよう提唱しました。
 こうした環境における日本企業の動向をみると、製造業は、EVを中心として急速に成長するBYDなどの中国企業に気押されて日本企業が脱中国を加速させる一方、小売業界では、安くていいものを提供しようと、ニトリなどが進出を加速させ、2025年二月に105点目を重慶にオープン、すでに1000店を超えたユニクロは、ECの利用の伸びを背景に出店戦略を見直しつつ、危惧されるデフレに耐えうる体制の構築を目指しています。

三瀦先生のコラム