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第1161回 香港の没落―その3―
(2025年3月13日)
交通インフラの発達に伴う物流網の整備は農村ECを急速に発展させ、それがまた農業の産業化、ブランド化を否応なく促進しています。それは、農村の貧困脱出、消費市場化も促進し、国内消費の掘り起こしにも大きな役割を果たしつつあります。2022年10月に農業農村部が配布した<2022年農業ブランド創出発展典型モデル案件紹介>では、甘粛省定西のジャガイモ、山東省金郷のニンニクなど、50ブランドがランクインしました。雨量が少なく気候が冷涼な黄河中上流地域では近年、有力な栽培品目としてジャガイモが急速に普及、主要穀物と同格に扱われ始めていますが、その中でも定西のジャガイモはいち早くブランド化に成功、その機械化率は74.58%に達しています。同年末に開催された中央農村工作会議で、習近平は、「産業振興は農村振興の最重要課題であり、産業のない農村には魅力がなく、人材も集まらず、農民の増収も望めなければ文化活動も発展しない。各地方は特産品に力を入れないといけない」と呼びかけました。
翌2023年、中国農業ブランド創出発展大会では、全国省レベル農業農村部門が育成に力を入れた地域公認ブランドの数が3000件に達したことが報告されました。同年、中国全土で国家現代農業産業園は180カ所に達し、1000万戸あまりの農民を吸収、一定規模以上の食品加工企業は9万社を超え、農村ECの小売額が2.49兆元に膨れ上がっています。
2024年の中央一号文献は農村産業の発展レベル向上を強調し、農村における第一~三次産業の融合的発展、農業生産品の加工産業のアプグレードの推進、農民増収措置の強化など各方面での具体的な対策を示しました。以降、各地からは続々とブランド化のニュースが伝わっています。広西チワン族自治区の村では従来からサトウキビの栽培が盛んでしたが、個人営農で品種も様々、機械化も進んでいませんでした。そこでサトウキビ生産専業合作社を立ち上げ、栽培畑を統合し、様々な加工食品を開発することでブランド化に成功しました。
四川省の漬物、浙江省のキノコ栽培、青海省の枸杞、山西省や吉林省のキクラゲ、浙江省のイチゴ、福建省のお茶、雲南省の紅茶・コーヒー、寧夏回族自治区のワイン、雲南省の花卉産業、江西省のウナギなどには、長い歴史を持つ農産物の産業化・ブランドもあり、新たに栽培を始めた農産物のブランド化もあります。農業以外に、山西省のガラス食器類、河南省の楽器産業、江西省の画家の村などブランド化の内容は益々豊富になっていくでしょう。