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第1175回 ドローンと低空経済―2―
(2025年6月19日)
中国製ドローンが急速に発展する中、アメリカのドローン開発の現状はどうなっているのでしょうか。勿論、アメリカでもドローンは作っていて、特に軍事利用の面では、世界の主要軍事用ドローンで大きな比重を占めています。しかし、DJIとの決定的な差はその値段にあります。DJIの向上は独自のコア技術を持っていて、その工場がある深圳はドローン開発・製造のメッカで必要な部品は何でもすぐ、安く手に入ります。この点でアメリカ企業は全く太刀打ちできず、現在、アメリカで使われている商用のドローンはその99%がDJI製という体たらく。中国政府はドローンの幅広い利用を加速させるべく、2024年1月、<無人飛行物飛行管理条例>を施行しました。中国では近年、ドローンが農業・物流・国土調査、科学研究、国防など多方面で活用され、2023年の中国民航局データによれば、2023年の中国低空経済規模は5000億元に達し、2030年には2兆元に達する見込みで、2023年末の運航企業数は689社、登録気体は3173機、運用飛行場は451カ所とのこと。しかし同時に、違法な飛行、制御不能による事故、更には盗撮によるプライバシー侵害など、負の側面も無視できない状況です。しかしながら、これまでの航空管理制度は有人飛行を前提とした管理方式にとどまっており、日々、実情をカバーしきれなくなってきていました。
今回の条例では、安全管理を基本に、軍とも連携して、設計から生産、運航に至る全プロセスの安全管理システムを構築し、規制すべき部分と開放すべき部分をはっきり仕分け、関連産業の秩序だった発展をサポートすることを目的としています。ただ、一口に無人飛行と言っても、そのタイプ・性能・用途・運行リスクなどは様々であることから、今回の条例では、これを重量・高度・速度などの指標によって微型・軽型・小型・中型・大型の5種に分け、差別化した管理を要求しています。また、これら低空飛行機器の管制は喫緊の重要課題であり、無人機管制区域を設置し、空中交通管理機構の許可なくしては区域内の飛行はできない、としています。また、外国人所有のドローンなどが、外国人の操縦により、国土の測量をしたりすることも禁じられています。一方で、条例では、ドローンなどの開発・応用を積極的に推進する方向も示しており、ビッグデータやAIとも連携を深め、生産の発展向上、管理部門の効率性の向上を目指すことも明記しています。