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 第百三十三回 "社区"の役割−その1:直接民主と党組織

80年代後半から、中国都市部において従来の街道弁事処や居民委員会をベ−スに、"社区"と呼ばれる自治組織が生まれ始めました。住民の多様化に対応する、一定 区域内の住民の共同体として正式に認知されたのは2000年のことです。 この"社区"が今、中国社会の新しい重要な受け皿になりつつあります。住民自治の 発展と"社区"を通した巧妙な共産党支配の形を変えた存続、団地式居住形態での地域コミュニティの再生(住民管理と住民の宥和)、社会の治安、衛生、福祉、教育、文化活動に至るまで、"社区"は「何でも屋」の様相を呈しています。その実態を概観してみましょう。
1. 民主化−住民の直接選挙:2003年3月、北京市崇文区前門街道鮮魚口社区で社区居民委員会の直接選挙が行われました。投票率96%、社区在住1年以上の外来者にも被選挙権 が賦与され、12人が立候補、9人が当選しました。このような動きは全国に広がりつつあります。寧波市の海曙区では2003年11月末までに59全ての社区で居民委員会の 直接選挙が行われました。10月12日には北京市石景山区魯谷社区で、北京では初めての街道レベル大衆組織として第一期社区委員会が選出されました。233名の代表のうち 160名が直接選挙で選ばれ、33名は社区内の"単位"の推薦、残りの40名は社区在住の各 レベルの人民代表大会代表や政治協商会議委員で構成されています。
2.共産党組織の浸透:2003年3月、吉林省白山市の在職共産党員229名が古蘭社区に登録しました。彼らは正規の勤務時間外に、社区の様々な活動(治安の維持、民事の仲裁、スポ−ツ指導、老人や身障者の介護、緑化保護、衛生指導、計画出産指導、就職指導etc.)を支援するのです。「"単位人"から"社会人"へ」と言われるこの活動は、共産党員が一般大衆の監督を受ける場としても喧伝されています。勿論、一方の 本音は、多様化する社会に対して如何にして党の指導を強化するか、ということであり、区委、街道党工作委、社区党組織の三段階支配によって党の全面的な浸透を図り、党勢を維持しようとするものでもあります。
社区の建設は"党の建設が核心で、奉仕が牽引役、文化は方向性で、安定が保障である"とは、江西省九江市委員会書記の言葉です。

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