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 第百四十六回 知的財産権-その3:著作権をめぐる情況


中国のAV業界は80年代初期から90年代初期まで、カセットテ−プ・ビデオ・CD・LDの順に売り上げを伸ばしてきました。しかし、90年代中期から低価格の海賊版VCDが大量に出回り、一挙に低利潤時代に突入しました。2002年の中国AV協会の統計では、全国約300のAV関係出版社のうち約30%が負債率60%以上で、自分で自分の海賊版を作り脱税に走るケ−スも増え、既に市場の30〜50%の商品が正規の出版社による違法な海賊版であると言われています。
歌手のライブの著作権問題も近年クロ−ズアップされ、張学友の重慶での公演や羅大佑の上海、北京、杭州の公演では、主催者側が中国音楽著作権協会に使用料を支払うことになりましたが、2004年春、話題になったのがカラオケなどでの著作権の侵害。3月1日から全国のMTV・MV・カラオケ経営者に、無断使用の中止と使用料の支払いを求める弁護士事務所の書簡が発送されました。既に重慶などではカラオケなどの著作権侵害を認める判決が下されていましたが、ワ−ナ−が北京市の唐人街飲食娯楽有限会社を訴えていた件でも、4月末に北京高等裁判所で原告勝訴が確定しました。
映画でも問題は深刻です。国産映画超大作<英雄>は映画館で厳重なチェックを行い、上映開始後1日経ってもまだ海賊版が出回らないことが“破天荒な事”と評されましたが、30時間後にはあえなくその成果も潰えました。こういった事態を是正すべく文化部文化市場局は取り締まりに本腰を入れ、その結果、2003年秋に放映された<天地英雄>は、北京での一晩の興行収入が49万元に達したと言うことです。子供に人気の国産アニメ<やんちゃな藍猫300問>シリーズに対しても、政府は海賊版阻止に特別対策を講じています。
深刻なのは教材の海賊版。高等教育出版社によれば、同社の総売上は10億元ですが、海賊版による被害額は3億元にも上るとのこと。中国共産党が幹部教育に使う<全国幹部訓練教材>も被害を免れることが出来ず、各地で海賊版が出現しました。極めつけは河北省邯鄲市の話。全市で100万冊の海賊版が教師を経て生徒に売りつけられていました。中国で著作権法が施行されたのは91年6月のことで、2001年10月に改正され、2002年9月には<著作権法実施条例>が施行されました。今後の取り組み姿勢が注目されます。

三瀦先生のコラム