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 第百六十回 自動車業界と新自動車政策−その3−


新自動車政策における投資政策の要点は<二つの堅持、二つの明確、二つの防止策>(6/2付人民日報)。「持ち株比率50:50/一つの外資企業は中国国内で同類(乗用車類・商用車類・バイク類)の完成車を生産する企業との合弁は2社以内」という二つの堅持は、外資の多面的展開と巨大化を抑制し、外資の規制管理を確保するのが狙い。
二つの明確の一つは、二つの合弁会社を持っていたGMが更に上海自動車と合弁の上海GMを使って煙台の完成車プロジェクトを吸収合併した案件に対し「中国側の合弁パートナーと協同で国内のその他の自動車メーカーを吸収合併することは2社規制を受けない」としたこと、もう一つは、ホンダが広州自動車や東風と、広州の輸出加工区にホンダが株を優位に保有する輸出工場を設立した案件に対し「国内外の自動車メーカーが輸出加工区内で投資し自動車や自動車用エンジンを生産輸出するプロジェクトは、今回の政策の関連条項に制約されず、国務院の特別認可を受ければよい」としたことです。前者は国内再編を奨励する意図、後者は輸出を奨励する意図から出たものと言えましょう。
また、二つの防止策とは、一部の多国籍企業が株を優位に保有する会社を使って2社制限を突破しようとすることに対し「外国企業が株を相対的に優位に保有する企業は同一企業とみなす」としてしりぬけを防止したこと、また、「株を上場している自動車会社が法人株を売却する時は中国側の法人の一つが相対的に優位に株を保有し、なおかつ外資法人の持ち株の総和を上回っていなければならない」としたことを指します。
今回の政策でもう一つ注目されたのが部品の国産化率に関わる記述。従来要求されていた40%以上という要求は取り消されたものの、それに代わり、WTO加盟時の公約の、2006年以降、完成車の関税は25%、部品の関税は10%という差を利用し、第53条で、「輸入部品で組み立てられ完成車並みの特徴を有するモノは完成車並みの関税を課せられる」としたこと。間接的な部品の国産化促進政策と言えましょう。
 新自動車政策の登場で、外資系各社はその対応に追われています。第6条では、「生産シェアや販売シェアが15%以上の企業グループは独自の経営発展計画を策定してよい」と定められました。今後、各社のシェアを巡る競争が激化することでしょう。

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