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 第167回 判例から見た世相あれこれ(2)

◆訴訟案件Ⅳ
2004.2.4付−安徽省の江さんは孫という男性と交際があったが、下品な話をする為交際を断った。孫がこれをひどく恨み、電話やショートメールでセクハラを繰り返したので、江さんは精神的被害を被ったと孫を訴えた。
   判決
孫に2000元の賠償を命じる。
    一言
2001年に最初のセクハラ訴訟があって以来、中国でも、セクハラで男性を訴える件数がどんどん増えています。法律で身を守る女性が増えてきたのは喜ばしい。
◆訴訟案件Ⅴ
2004.7.26付−中国では法的拘束が無いのに弁護士の商標登録代理申請が認められていなかった。2003年3月に国務院は国家工商総局の商標代理組織と商標代理人資格許認可権を取り消した。しかし同年3月に南京知識法律事務所が代理申請をしたところ、商標局に「知識法律事務所は<商標法実施条例>第7条に定める商標代理組織ではない」と却下され、その後国家工商総局に再審査を要求したが認められなかった。そこで、同年10月に商標局を相手取り、北京市第一中級人民法院に提訴。
   判決:
<弁護士法>第25条には、弁護士が従事できる業務として「非訴訟法律事務当事者の依頼を受け、法律サービスを提供できる」とある。2003年3月の国務院の通達から見ても、被告が申請を拒否したことは法的根拠が乏しい、として原告勝訴。
   一言:
商標登録業務に関して弁護士界からの初めて行政の壁に挑んだ訴訟が原告勝訴に終わった意味は大きい。行政が法を無視して法治が実現するはずが無い。
◆訴訟案件Ⅵ
2004.10.13付−重慶市のある高校三年生。6月7日の大学入試で、受験料は納付済みだったが、学校側は未納の学費150元を納めるか借用証書を提出しなければ受験許可証を与えないと通告。生徒が受験許可証を受け取ったときは、既に規定の入場時間を過ぎていて受験できなかった。そこで学校側に損害賠償を求める訴えを起こした。
   判決:
学費未納を理由に大学受験許可証を取り上げたことは、原告の教育を受ける権利を侵害したもので、結果は重大であり、慰謝料1万5千元と受験料の支払いを命じる。
   一言:
学校教育を露骨な金儲けの手段にしている例は最近枚挙に暇が無い。如何に商業民族とはいえ、教育を金まみれにしてどんな未来があるというのだろうか。

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