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 第170回 問題山積の中国サッカー界−その1−

北京・上海などの大都市ではテレビ視聴者に最も人気が有るサッカー(2位〜4位:卓球・バトミントン・バスケット)ですが、その中国サッカーが今、存亡の危機にさらされています。その一つがファンのマナーの悪さ。
中国サッカーファンのマナーと言えばすぐ思い出すのが2004年夏のアジアカップ。重慶での出来事については「抗日戦争根拠地だから」と言う解説もありましたが、騒ぎは競技場内だけで市街では何事もなく、北京の騒動も公使の車のガラスが割られたのは当然抗議すべきですが、反日の側面だけでなく“京罵”のことも指摘しないと判断を誤ります。
ここ数年、“京罵”(北京のスポーツファンの口汚い罵り)は中国でも大変問題になっていて、このままでは2008年の北京オリンピックで中国は世界に向かって大恥をかく、と政府は危機感を募らせています。「日本ではスタンドの罵詈雑言には観客が一斉に振り返って非難のまなざしを向ける」「韓国では<赤い悪魔>という熱狂的ファンがいるが、味方が負けるとわかっても熱心に応援し、選手もそれに応える。翻ってわが国は、負けとわかれば選手はチンタラ、ファンも罵倒するばかり」との指摘もあります。更に判定に不服と通路で審判を襲い、線審にボトルを投げつけて大怪我をさせ、市街では大暴れとイギリスのフーリガンも顔負け。そんな北京のファンが、アジアカップで反日を格好の旗印にして己の行為を正当化しようとした要素を見落としてはいけません。
このようなファンの行動に対して、「イギリス政府がフーリガンに対して毅然として望み、常習者を競技場から排除したことに倣うべきだ」、「多くのファンの粗暴な行動は選手が真面目にプレーしないだからだ」、「審判の質が悪すぎ、おかしなジャッジが後を絶たないからだ」など様々な声があがっています。
アジアカップ敗戦のほとぼりが冷めた2004年9月、北京で318のスポーツ団体が加盟する<北京球迷協会>が成立し、竜の姿をしたマスコットの<ラーラー>ちゃんが披露されました。今後、2008年に向けて、フェアな応援を組織しようと言う取り組みが始まったのです。さあ、これで中国サッカー界も心機一転と思いきや、その直後から年末にかけて大事件が勃発しました。その内容は次回で。

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