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 第172回 企業文化へのまなざし

華やかな経済発展の陰で企業の厳しい栄枯盛衰が続く中、ここ数年、中国では企業文化確立への関心が急速に高まっています。
広東省宣伝部何崇輝・広東企業文化建設協会馬必文執筆の<企業文化と人文精神>(人民日報2004・4・1)は、企業経営者の「一年目は気宇壮大、二年目は利益追求、三年目は破綻」といった現状に警鐘を鳴らし、まず、従業員に対し受け入れやすいモラル教育(“六心” 教育:祖国への“忠心”・社会への“愛心”・集団への“熱心”・同僚への“関心”・父母への“孝心”・自分への“信心”)を行うことを提唱しています。そして、「一人が働き、一人は傍観、あとの一人はけちつける」という病根を撲滅するためには“敬業楽群精神”(職業を愛し、職場に人生の価値を見つけ、従業員が一体となって努力する)を涵養するべきで、厳格な管理制度を確立する一方、従業員の労働・生活環境や自己実現、物質的豊かさに配慮する“愛”の有る管理理念の導入が必要であり、更に、人類の発展進歩は多かれ少なかれ個人の犠牲と代価によるのだから、社会に奉仕する精神を育成しなければならない。これらがマッチして初めて企業文化を深めることができる、と説いています。
この論を更に具体化したのが王昕傑氏の<企業道徳インセンティブメカニズム>(人民日報2004・7・9)で、従業員に精神的満足と道徳的満足を与えることは従業員の資質の向上と企業の効率化に不可欠で、物質的利益のみによるインセンティブには限界があり、具体的で達成可能な目標を掲げた道徳的インセンティブの補助が必要である。道徳的インセンティブは、主に賞罰を通じて行われるが、それには、目的の設定・公平さ・透明度等が重要である、と主張しています。
そして、「企業の中心的価値観は企業の魂であり、理念において成功しなければ、企業の発展戦略の成功はありえない」、「現代市場経済下において企業の最も重要な資源配置は理念の配置であり、それは企業の文化資源の配置である」、「企業文化はコ−ポレートガバナンスの重要な内容であるが、わが国の企業に問題が多いのはこの理念と企業文化が欠けているからだ」と喝破するのは管益忻氏(<企業文化の管理プロ化を推進しよう>人民日報2004・10・22)で、具体的一歩として企業文化管理専従者の設置を求めています。

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