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 第179回 賭博の蔓延

公金276万元を含む351万元あまりの巨額の金を北朝鮮での賭博につぎ込み、5万元の懸賞金で指名手配中だった吉林省延辺朝鮮族自治州交通運輸管理局長蔡豪文が2005年2月6日遂に逮捕されましたが、中国では同種の事件が続発しています。過去には、賭博の為17回も出国し3日間で数千万元スって2001年に死刑判決を受けた瀋陽市副市長馬向東や、やはり国外賭博で1800万元の公金を使い込み、国有会社の屋台骨を傾けさせてしまった文永軍の例なども報告されています。
賭博は<中華人民共和国刑法>第303条で明確に禁止されており、<中華人民共和国治安管理処罰条例>第32条・<中国共産党紀律処分条例>第162条にも関連規定があるのですが、近頃の蔓延ぶりは甚だしく、麻雀・サイコロ・競馬にドッグレース、ルーレット・スロットマシーン・ロトシックス、加えてネット賭博とその横行ぶりは都市も農村も関係なし。最近は東南アジアや北朝鮮など国境沿いでの国外賭博が急激に盛んになり、更に視察旅行に名を借りて国外賭博ツアーを組み、東南アジアからオーストラリア・アメリカまで足を伸ばしています。こうした賭博による海外への資金流出は毎年6000億元にも上ると言われています。
2005年1月11日、賭博違法犯罪活動集中取締り全国テレビ電話会議が開催され、特別取締りに関する国務院の決定が示されました。その重点は党員指導幹部・国家公務員・国有企業各事業部門責任者などを対象としたもので、公安部からは通報用電話番号とネットのアドレスが発表され、約一週間で4000件もの通報がありました。1月にこのような措置が採られたのは、目前に迫った春節が最も賭博が盛んな時期で、しかも賭博に名を借りて政府機関の責任者に金を稼がせる賄賂の絶好の機会だからです。
東南アジアとの国境を抱える雲南省では、国内外の賭博経営者をチェックし、国外賭博場関連の通信・送金手段を断つなどの措置を講じ、マカオに隣接する珠海では市内を巡回する賭博禁止パトロール隊を組織すると共に、各人のマカオ通行証の使用状況の調査から賭博幹部を割り出し、処分しました。5月まで続く全国集中取締りですが、識者からは、終わったら元の木阿弥にならないよう、早急な関連法整備を求める声が上がっています。

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