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 第186回 中国民間骨髄バンク誕生秘話

2005年5月10日付人民日報に<白血病を患った一人の若者が、医者の静養の勧めを振り切り、情熱を傾けた事業に取り組んだ。“劉正琛:中国最初の民間骨髄バンクを立ち上げる”>という記事が掲載されました。今回はこの感動的なエピソードをご紹介しましょう。
同記事に掲載された劉君の写真はとても病人には見えません。背の高い、笑顔と元気が一杯に溢れた好青年です。彼が白血病患者などとは誰が想像がつくでしょうか。
発病までの彼の人生はまさに順風満帆でした。1995年、北京大学に入学し数学科に在籍、更に大学院へと進学しました。しかし、2001年12月、目に異常を感じ、検査の結果、慢性粒細胞性白血病と診断されました。薬物治療を行っても平均寿命は5年、最も良い治療方法は骨髄移植ということでしたが、頼みの綱の弟は条件が適合しません。
この結果を受けて劉君は民間骨髄バンクの建設を思い立ちました。名前は<陽光造血幹細胞バンク>。骨髄バンクは一人の検査費用に500元かかります。100人の提供者にかかる費用5万元は両親が提供し、2002年1月、<陽光100>プロジェクトがスタート、劉君の誕生日である3月11日に首尾よく達成しました。同年6月9日には北京大学陽光ボランティア協会が発足し、<陽光1000>計画がスタートしましたが、援助を申し出る企業がほとんどない状態では提供者との連絡にも事欠く有様で、苦しい状況が続きました。
2003年1月、はじめて北京のある小児患者と登録提供者の条件が一致し、順調に骨髄移植が行われれば子供は完治する事が判明しました。夢が初めて現実になり劉君は喜びの涙にくれた、ということです。
多くの友人が検査を受け、提供者に登録しました。運動は急速な広がりを見せ、検査資金も数十万元に達し、1118例の骨髄データが公表され、7名の患者が適合者を発見しました。陽光ボランティア協会は、骨髄移植に関する中国初のパンフレットを翻訳編集し、また、中国少年基金会・中国科学院北京遺伝子研究所とも緊密な連携を始めました。
現在、同協会は<陽光1万>活動を展開中で、更には<陽光10万><陽光100万>も視野に入れているとのことです。
「残された5年の命で、僕は白血病患者のために生きる希望を見つけたい」劉正琛。

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