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 第189回 不動産業界の新しい動き−その1−

2004年以来、中国では一部の住宅価格が二桁の上昇を示し、その地域も東部沿岸地区から内陸部へと拡大しています。このため、2005年3月の全人代政府活動報告で温家宝首相は、住宅価格の異常な高騰の抑制を政府の重要任務の一つとして提示しました。住宅価格上昇の原因としては、近代的住居への都市住民の願望、農村から大量に流入した出稼ぎ労働者の住居というもっともなニーズの他に、銀行の利率の低さや株式市場の低迷で行き場を失った資金の流入、価格上昇の継続を見込んだ投資・投機的ニーズ、不動産業者の悪質な価格の吊り上げ、更には都市建設で立ち退かされた人々の代替需要、低所得者用住居の不足、価格の継続的上昇を恐れた駆け込み需要などが挙げられます。
中国の住宅価格は、2000年以前はコストを基準にしたリーズナブルな価格設定でしたが、その後、需給関係による価格設定が支配的になり、2004年からは不動産開発業者のやりたい放題になってしまいました。上海の瑞金南路にある“申江名園”の住宅価格は、2001年10月6000元だったのが2003年末には11000元、2005年3月には24000元に高騰しました(2005.5.26人民日報)。そこで政府は、住宅目的以外の分譲及び高額な分譲の抑制、一般住宅・低所得者用住宅・低家賃住宅の供給、立ち退きを伴う都市整備計画の厳格な管理など様々な面から抑制に乗り出しました。2005年3月17日、中国人民銀行は商業銀行の個人住宅ローンに関する政策を改正し、住宅ローンの優遇利率を一般の貸出金利と同一に戻し、0.9倍までは自由裁量を認めることにしました。また、住宅価格が急激に上昇している一部の都市では、頭金を現行の20%から30%に引き上げました。
高騰著しい上海では、全市の不動産価格と仲介業者の手数料をチェック、14種類の違法価格を摘発し、2005年3月には7件の違法販売マンションを封鎖、短期の投機を取り締まる税制の強化や需給関係に則った価格の抑制を行う一方、総合分譲住宅、中クラス以下の低価格住宅それぞれ1000万㎡を今年中に建設する、と発表しました。また、4月6日からは、抵当家屋の譲渡については、ローンを完済し抵当権の登記を抹消しないうちは譲渡できないように改めました。
5月9日、新しい措置が出されました。その内容と各地の取り組みはまた次回に。

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