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 第190回 不動産業界の新しい動き−その2−

2005年5月9日、建設部・発展改革委員会・財政部・国土資源部・人民銀行・税務総局・銀行監督管理委員会等政府7部門による<住宅価格安定業務を確実に行うことに関する意見>が国務院で承認され、通達されました。
その中で政府は、土地の供給に関する管理を強化するため、土地譲渡契約に記載された着工日を1年過ぎても放置されているケースは遊休費を徴収する、2年を経た場合は土地使用権を無償回収する、と定め、また、6月1日から税制を改正し、個人が住宅購入後2年未満に転売した場合、(一般住宅でも)その販売収入全額に営業税を課し、2年以上の場合、一般住宅なら免除、非一般住宅は購入時の価格との差額に営業税を徴収するとしました。
この発表の後、上海では駆け込みで納税手続きをしようとする人が長蛇の列。<意見>より前にすでに税制が強化されていた上海の新築マンションは4月以降売れ行きが前年の3分の1にまで落ち込み、損をしてでも短期で資金を回収したい住宅所有者の投売りが激増していましたが、これは<意見>が出たことで逆に沈静化し、変わって賃貸住宅市場の供給量が急増、借り手の需要を大きく上回っています。
今回の不動産バブル対策は“上海生病,全国喫薬”(上海が病気になり、全国が薬を飲まされる)と言われていますが、中国人民銀行が6月7日に発表したアンケート調査でも、今後三ヶ月間に住宅を購入しようと言う人は全体では19.1%、前三ヶ月比2.9%の減少ですが、上海では12%と急減。ちなみに北京では2.2%上昇しました。
<意見>では、優遇措置が認められる“経済適用住房”と呼ばれる低所得者(例えば北京では収入が6万元以下であることが条件)向け住宅の十分な供給が強調されました。2004年、“経済適用住房”への投資がマイナス成長で、不動産開発投資に占める比率も6.1%から4.6%へと急落し、このことが庶民の不満を増大させたからです。しかし、いかに供給を確保しても、6万元以上の収入がある者でも金さえ出せば裏取引で国の面積基準をオーバーした住宅がたやすく手に入り、優遇措置を受けながらベンツやBMWを堂々と乗り回している現状では、しり抜けと言われても仕方がありません。政府の監督管理能力が問われるのはむしろこれからだ、と言えましょう。

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