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 第203回 環境問題この1年−その2−具体的な取締まり内容

(2005年10月31日執筆)

最近の深刻な電力不足で火力発電所の建設が目白押しの中国。しかし、2003年時点で既に火力発電所が放出する二酸化硫黄は1100万トンと、全国排出総量の50%以上。最近の調べでは、全国527都市のうち酸性雨が出現する都市は298都市(56.5%)にも。
そこで国務院は無秩序な発電所建設を取り締まる緊急通知を発し、2005年1月には、国家環境保護局が、2003年9月<環境影響評価法>実施以来最大規模の30の違反プロジェクト(うち26は発電所関係)に工事停止を命令しました(2月末に26が工事再開許可)。これらは、環境評価報告書が承認される前に着工あるいは完成したもの(“未批先建”)です。国家環境保護総局は同月更に脱硫装置取り付け工事未着工火力発電所46を公表。年末までに達成しなければ、今後、関係申請は一切受け付けない旨通達し、7月には国家発展改革委員会など3機関と合同で、32の違法発電所建設プロジェクトの建設停止を命令しました。
水の汚染も深刻。2004年6月に黄河の水が汚染され、包頭市では給水が5日間停止、300kgの魚が死亡する事件が起きました。同市水道供給会社は汚染源と思われる上流の製紙工場などに損害賠償を請求、2005年1月には包頭市中級人民法院で公判が開かれました。同じ頃、四川省錦江区裁判所では、四川省川化株式会社社長李倹等3名の企業幹部と3名の政府の役人が被告席に引きずり出されました。これまでの「罰金はとっても人は罰しない」前提が覆った中国環境保護史上画期的裁判と言われました。
地方から新しいニュースも飛び込んでいます。北京では、2008年オリンピックに備え、首都鋼鉄公司が渤海湾上の曹妃甸に移転する事が本決まりになりました。2008年上半期には生産を開始します。移転により、1.8万トンの吸入の危険性がある微粒子が北京の街から排除されますが、都市部にある全国の製鉄所の移転モデルと言われています。江蘇省南通市では、地域として初の水汚染物排出権取引システムが構築され、工場建設には先に排出権を購入する事が義務付けられました。
2005年6月18日、中国を代表する企業が結集し、“緑色中国企業論壇”が設立されました。そこで強調されたのは「企業の社会的責任」です。政府主導型から社会自覚型へ、中国の環境保護への取り組みは少しずつ成熟しつつあるようです。

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