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 第205回 2005年上半期自動車産業−その2−市場の動向

(2005年11月14日執筆)

2004年6月に打ち出された<自動車発展政策>の基本方針に沿って、2005年に、新たに重要な法規が打ち出されました。その一つが4月1日に施行された<自動車商標販売管理実施方法>です。現在、工商部に登録している中国全土のディーラーは3万社有りますが、そのうち、メーカーからフランチャイズ権を与えられているディーラーは2000社あまり、全体の7%にしか過ぎません。今回の措置により、残りの93%のディーラーも、今後メーカーからの権利取得が義務付けられるとともに、ディーラー乱立による過当競争とそれに伴う勝手な値引き合戦に歯止めがかかることになりました。
1月から自動車の輸入割当が廃止され、関税も引き下げられた2005年の中国自動車市場にはどんな変化が起きているのでしょうか。中国自動車工業会が発表した2005年上半期の乗用車販売量は前年同期比10.55%増の184.30万台。2004年の低迷状態を引きずった1〜2月は各メーカーとも在庫の圧縮に懸命でしたが、買い控えていた消費者が3月頃から購入に転じて活況が戻り、5月のゴールデンウイーク前後の小休止を挟んで、6月からは10万元前後の乗用車を中心にまた上昇カーブを描きました。このまま行くと、2005年の乗用車の販売台数は300万台を突破すると予測されています。
上半期の乗用車売り上げランキングは、1位から上海通用(GM)・北京現代(ヒョンダイ)・広州ホンダ・天津一汽・上海大衆(フォルクスワーゲン)・一汽大衆・奇瑞・神竜・吉利・東風日産の順。最も売れた乗用車は夏利(シャレード)の93316台でした。一方で、相次ぐ値下げ競争の結果、メーカー側の利潤は大幅に減少しています。上半期の自動車産業全体の利潤は、販売台数の増加にもかかわらず、前年比でほぼ半減し、トップ15企業では70%減にもなりました。ただ、値下げによって10万〜15万元前後の自動車価格は、やっと国際水準と同レベルにまで落ち着きました。
一方、メーカーの指導価格と実際の取引価格との差は急速に縮まっています。例えば中級車19ブランド、100車種のメーカー指導価格と実際取引価格との差は、2004年末の12000元から2005年5月には6000元と、ほぼ半分になりました。まだ利幅の大きい高級車市場では、今後も外資系各社による激烈なシェア獲得競争・値下げ合戦が続く可能性も有りますが、大衆車レベルでは高利潤時代は既に過去のものとなっており、大幅な値下げが出現する可能性は低くなりました。
2005年8月10日に発布された<自動車貿易政策>は、外資の国内自動車取引への参入と経営における内国民待遇を認め、自動車販売・中古車取引・部品の流通などについてその指針・枠組み・今後の方向性を明らかにしました。その主旨は、市場の規律を高め、違法行為を締め出し、地域主義を排し、全国的に開かれた自由な流通を保障する市場を育成することで、物流・流通新時代に突入した中国経済に呼応した措置と言えましょう。

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