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 第208回 始まった物流・流通の急速な発展

(2005年12月5日執筆)

90年代半ばから本格的に始まった交通インフラ網整備は、2004年頃からその成果が顕著になり、全国全ての村に自動車道路・電気・電話(インターネット)を通す“村村通”も2005年現在、完成率が90%以上に達し、文字通り中国全土が消費市場に組み入れられ始めました。こうした状況に対応して、チェーン店・フランチャイズ制などに対する法整備や物流・流通に関する門戸開放も、WTO加盟時のアクションプログラム(2004年12月から外資全額出資会社に輸送業務を開放、など)に沿って進められています。
2004年、中国の社会物流総額は前年比30%増と過去10年で最大となり、貨物運輸企業数も5000社あまりに達しましたが、一方で、輸送需要量20%増に対し輸送量能力の伸びは10.6%、貨物列車の需要1日15万〜16万両に対し充足数は9万両余り、港湾のコンテナ呑吐能力も不足が深刻で、結果として全国的な滞貨増を招いています。
物流インフラ不足によるコスト高(中国の物流総コスト対GDP比は21.3%と先進国平均の2倍以上)を解決すべく、政府は2004年8月、<わが国現代物流業発展に関する意見>を出し、2005年2月には<全国高効率生鮮農産物流通“緑色通道”建設実施方案>を発布して全国物流協調メカニズム構築を提唱、21省都・71地方都市を結ぶ“五縦八横” の“緑色通道”(道路通行料免除)2.7万キロネットワーク年内完成の方針を打ち出しました。また、5月には北京で<全国現代物流事業省庁横断連絡会議>も開催されています。
こうした動きに対し、日本企業も商社・物流各社を中心に素早い対応を見せています。日通は三菱商事と提携してトラック物流部門による一貫輸送網を整備、近鉄エクスプレスは国内航空貨物取り扱い免許を取得し、併せてGPS搭載トラック網の整備に取り組み、郵船グループは郵船航空サービスの便と中国物流子会社のトラック便を組み合わせた貨物の急送サービス提供を、更に、住友商事・伊藤忠・三井物産・丸紅・佐川急便・ヤマト運輸なども活発な動きを見せています。また、日中間のコンテナ貨物輸送には各海運会社が積極的に乗り出し始め、メーカーも、大日本インキが上海に全額出資の物流子会社を設立して中国全土に独自流通網を立ち上げ、ホンダはホンダエクスプレスが日系企業の100%子会社として初めてトラック輸送免許を獲得、物流の自前整備に取り掛かっています。

三瀦先生のコラム