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 第227回 問われる商業モラル−その1−

(2006年4月24日執筆)

2001年に古い餡を使っていたのがばれ、翌春に破産宣告を受けた南京冠生園の12のチェーン店が2005年5月、漸く試験営業を開始しました。企業モラルが厳しく問われた事件でしたが、様々な手口を使ったインチキ商売の跋扈は今も一向に衰えを見せていません。  
例えば同年4月11日付人民日報に<高級パーマ用の水がなんとポリタンクの水>という記事が掲載されました。瀋陽の一部の美容院が扱う韓国やイタリアからの輸入物で一回100元もする水が同市の卸売り市場ではなんと数元、しかも輸入物とは真っ赤なうそで、実は南方から送られてきたポリタンク水とのこと。こんな話が掃いて棄てるほど。
儲けの為ならあらゆる智慧を絞る中国商人。普通、店は客にレシートを発行しこれに税金がかかる。そこで商店主は客にレシートを出さず、代わりに景品を渡すなどあの手この手。業を煮やした政府がレシート宝くじを考案し一定の効果を上げましたが、商店側もしたたか、今度はレシートよりもっと有利な宝くじ券を作って代わりに手渡す始末。
朱鎔基前首相はかつてこの状況を改善するために“誠信”を提唱しましたが、2005年、漸く“誠信”を企業に求める法的・システム的な取り組みが動き出しました。商務部が開発した“3+1”(企業再建管理状況、債務・契約履行状況・公共記録及び財務状況と総融資能力)評価もその一つの現われで、同年1月1日の人民日報は、<全国誠信等級AA−AAA級企業の紹介>と銘打って、まずハイアールや光明乳業など6社を掲載しました。
同年2月1日、北京市は<北京市商業小売販売促進行為規範>を試行、7種類の行為を規制し、例えば、店側にはルールの最終解釈権が無い、値段を吊り上げての大幅割引の自粛要請、返品期限は7日以上・期間限定の期間は3日以上といった内容を盛り込みました。
工商総局は2003年から企業信用分類監督改革を開始し、企業をその信用度によって緑・青・黄・黒(信用・警告・不信・極めて不信)に分類、2007年末には全国的な企業信用度情報ネットワークの完成を目指しています。既に浙江省では2001年末からその取り組みが始まり、上記4分類に加え、“信用優良” “信用良好” “信用穏定” “信用波動” “信用低下” “信用破産”と6等級を表示、同省杭州市では8079企業が信用破産を宣告されました。その後2005年から2006年にかけてどんな動きがあったか、この続きは次回に。

三瀦先生のコラム