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 第232回 土地収用方法改善への取り組み−その2−

(2006年6月5日)

2006年の一号文献<社会主義新農村建設推進に関する中共中央国務院の若干の意見>で強調されたのが、土地収用範囲の縮小・被収用者への保障の充実・農民の円満な移転・収用手順の明確化など土地収用制度の改革。また第11次5カ年計画にも補償システムの確立が盛り込まれ、これらを受けて国土資源部は3月27日に<法規に則り用地を節約集約し社会主義新農村建設を支える事に関する通知>を発し、土地収用の際、被収用者の知る権利・関与する権利・監督する権利・申し立てる権利を擁護するよう求めました。
近年、地方政府は様々な手段で農民から土地を取り上げています。<土地管理法>では、土地の収用と農地の転用は省レベル以上にしか審査権がなく、そこで地方政府は土地を借用する形で大量の土地を農民から奪ったのです。その他にも、“口糧田”“責任田”であることを理由に出稼ぎ労働者が請け負っている土地を強制収用したり、数年毎に請負う田畑の編成替えをして新請負証交付の隙に乗じる・第一期請負期間終了後更に30年延長する第二期請負制策を実施しないなどの方法で土地をせしめたり、とやりたい放題。
これに対し国土資源部は2005年、<土地収用の補償と生活安定を保証する制度に関する指導的意見>を通達、被収用者の生活レベルの維持・補償額の地域内平等・将来の生活保障制度の確立(土地使用権の株券化・都市就職システムへの編入・必要な耕地の留保など)を盛り込み、2006年1月には、手紙に依る陳情・再審査請求・行政訴訟に加え、<土地収用の補償と生活安定に関わる争議の採決制度>の年内整備を全国一級行政区に求めました。また、「各弁護士は毎年最低限2件、ボランティアで法律援助案件を担当しなければならない」という弁護士法の規定に基づき、強制取り壊しなどに関する相談を奨励、2005年6月時点で、全国633箇所のモデル行政機関に1817名の公職弁護士が配備されています。
地方政府で対策が進んでいるのが広東省。2004年末には20億元の収用補償累積未払い金を全額支払い、収用前の告知・収用中の公聴・収用後の公示を徹底、2005年12月23日には張徳江書記が、補償金が農民に支給されていないプロジェクトは着工させないなど土地収用に関する3つの厳しい基準を発表しました。こういった動きが今後どれだけ全国に浸透するか、その動向が今後のカギとなるでしょう。

三瀦先生のコラム