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 第241回 公安改革

(2006年8月21日)

2005年8月、従来の<治安管理処罰条例>を全面修正した<治安管理処罰法>が公布され2006年3月から施行されました。最大の違いは社会規制型から国民の権利保障型へ転換し、公安に対するチェックが強化されたことです。第5条には「治安管理処罰を実施するには、公開・公正で、人権を尊重・保障し、公民の人格的尊厳を保護しなければならない」と明記され、公安警察の違法行為を厳しく規制した第5章:“執法監督”では、第116条で自白の強要・拷問・長期の拘束(拘留期間は最長20日間)など11項目の違法行為を処分対象として列挙しました。社会の多様化に応じ処罰項目は72種類から150種類あまりに増えましたが、罰金徴収には領収書の発行を義務付け、発行しない場合は支払い拒否できる(106条)、徴収金は2日以内に所属公安機関に、同機関も2日以内に指定銀行に預ける(105条)など、私腹を肥やす行為を取り締まる詳細な規定も設けられました。
公安警察の意識改革とそれに伴う具体的な措置が最近目に付くようになりました。まず、2005年7月に人民警察の服装と色を3年以内に統一するよう全国に通知が出され、2006年には2007年から全国の警察手帳を統一することが決まりました。110番ネットワークが全国の都市と農村にほぼいきわたって、緊急電話の110・119・122が2006年末にはすべての県や地方市レベルで統一されます。また勤務内容向上のため、2005年12月には、年2回以上職務怠慢の苦情があった者には行政処分も辞さないなどと規定した<公安機関行政許可工作規定>も施行されました。各地方でも言葉遣い集を編集したり(福建省福州市)、走行中のサイレン使用規制や道路規則遵守を通達したり(湖北省)とマナー向上に工夫を始めました。
公安部は2006年を“基層基礎建設年”と定めました。“基層”とは“三所”(派出所・看守所・車両保管所)と“三隊”(刑事警察隊・巡邏警察隊・交通警察隊)のことで、警察人員の配置がこれまで上部と下部の人員が変わらぬ「水桶」型だったのを実働人員が多い「ピラミッド」型に改め、実行力を高めようというものです。近年、公安が善良な市民や農民の怨嗟の的になって襲われる事件が少なくありません。やっと始まった民衆に信頼される公安になろうとするその努力に大いに期待しましょう。

三瀦先生のコラム