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 第253回 知的財産権をめぐる最近の話題

(2006年11月13日)

2006年4月16日、北京で第一回<中国知財権保護成果展覧会>が開催されました。これまでの成果を展示し、国民の意識を高め、国際協力を促進しようというもので、展示会場は部門別・地方別・企業別に分けられ、部門会場では商標権・特許権・著作権・税関での知財権保護や司法保護などが、地方別会場では知財権保護特別活動15重点地域の成果などが、企業別会場では企業の知財権保護意識の向上や自主ブランド確立への取り組みなどが紹介されました。その後、9月にも大々的にキャンペーンが繰り広げられました。
中国の知財権保護に対する取り組みが漸く本格化しつつあります。2006年2月に開催された<企業知財権保護と自主革新大会>で国家知財権保護活動組長の呉儀副首相は、関連法の整備や取締り組織の確立などに一定の成果を認めつつも、現状は依然深刻で、任重く道遠しと述べ、今後、全国50の主要都市に通報センターを設置することを明らかにしました(8月にオープン)。同大会では<企業知財権保護の訴え>が採択され、参加30社あまりが<企業正規ソフト使用の訴え>に調印しました。
3月27日、国務院は<知財権保護行動綱要(2006-2007年)>を各地方政府や政府主要機関に通達し、地方政府の責任の強化・法体系の更なる整備、取り締まり協力体制の強化・全国通報システムの整備などを掲げ、同時に<2006年中国知財権保護行動プラン>を策定し、具体的な取り組み内容を明確に提示しました。また、4月1日には上海で開催された<中国知財権刑事保護フォーラム>で日米欧など参加各国と知財権侵害に結束して取り組むという<上海宣言>を採択しました。一方でこれらの取り組みが、直後の胡錦濤主席のアメリカ訪問に照準を合わせたものであったことは言うまでもありません。
商標権侵害についても、偽物で有名な北京の秀水市場や上海の襄陽市場閉鎖など漸く取締りが強化されつつあります。2005年に工商総局が公安機関に通報した商標侵害案件は236件で前年の2.45倍。2006年5月には、北京で4件の知財権侵害事件に対する判決が下されました。そのうちの一件は、トヨタ・日産・マツダ・三菱などの部品を偽造したもので、金額にして1500万元あまり、主犯には懲役4年、罰金40万元が課せられました。これらはまだ氷山の一角であり、今後の継続的な努力が求められています。

三瀦先生のコラム