企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

LastUpdate:

 第271回 天井知らずの港湾発展−その2−

(2007年3月26日)

中国の港湾が最近、新しい発展段階に突入しつつあります。それは、港湾が鉄道・道路など他の交通インフラをリードしながら個別経済圏内の経済構造をレベルアップさせ、地域政府も各経済圏の港湾群の効果的な役割分担を強化するようになったこと、また主要な港湾が複数の経済圏間の経済的連携を促進する起爆剤にもなりつつあることです。
典型的な例が上海・洋山港で、現在、長江本流沿岸の主要港は216有りますが、洋山港の建設により、中西部地区から集めた貨物を長江の水運を使って洋山港経由で輸出し、輸入の場合はその逆を行うことが可能になります。2005年7月、上海国際港務グループと上海港コンテナ社が武漢港務グループの株式をそれぞれ30%・25%取得して提携を深め、また2005年に『長江戦略』を提起した重慶では、翌2月に重慶港務グループが上海国際港務グループと業務提携するなど、新しい動きが急速に拡大しています。
山東半島は1500キロの海岸線に24の港がひしめき、2006年の総呑吐量は4億5千万トンに達しましたが、各港の縄張り意識と重複建設による非効率化やダンピング合戦、青島・日照の2港で3億トンを占めるなど一部の大規模港への過度の集中、小規模港の不振といった弊害が目立ち始めました。そこで省政府は青島港・日照港・煙台港をハブとし、竜口港・威海港を地方の重要拠点とし、灘坊港・蓬莱港・萊州港などで補完する近代的な港湾群を形成するべく、日照港・煙台港に見られるような港湾企業の再編や、青島港と威海港・日照港の合弁など行政区分を打破した港湾同士の提携を精力的に進めています。
福建省は長江デルタ・珠江デルタ・海峡を挟んだ台湾という3大経済圏に接し、内陸諸省の海への出口ともなる地理的利点がある上に、3324キロの海岸線(全国の6分の1、うち190キロは水深が深く大型船が接岸可能)があります。そこで第11次5カ年計画では、浙江省から同省を通り広東省へ抜ける鉄道を整備し、各主要港とは支線で結び、また厦門港・福州港・湄州湾港・寧徳港と内陸各省を高速道路で結ぶ一方、省の港湾資源を統一管理し、一湾多港の非効率を改める試みとして、2006年1月、行政区画を跨ぎ、隣接する漳州市の港も包含した新厦門港がスタートしました。これは福建省の海峡西岸港湾群建設の幕開けとして注目されています。

三瀦先生のコラム