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 第274回 企業所得税法の制定

(2007年4月16日)

2007年3月の第10期全人代第五回会議で8章60条からなる<企業所得税法>が採択され、2008年1月1日から施行されることになりました。近年、外資優遇に対する国内企業の不満、国有・民営・外資など異なる企業間の連携による区分の複雑化、香港にペーパーカンパニーを設立するなどして外資企業優遇を享受する国内企業、全人代制定の外資向け規定と国務院制定の国内企業向け規定の交錯に起因する法的効力の弱化など問題点が顕在化しており、WTO加盟の過渡期が終了し外資に対する規制が大幅に緩和され、一方で国の財政収入の伸びが改革による減益をカバーできる今はまさに改革の好機といえます。
今回の改正内容(個人企業や他人との共同出資企業は対象外)は『4つの統一』と称されています。即ち、①従来の国内企業用<企業所得税暫行条例>と外資企業用<外商投資企業と外国企業所得税法>の格差を是正統一。②従来、国内・外資企業の所得税率は33%で、経済特区・経済技術開発区の外資企業は24%か15%だったのを25%に統一(世界平均は28.6%。利益の少ない中小企業は27%か18%だったのを20%に)。③税控除の方法と基準の統一。④優遇政策の統一(国が必要と認める重点ハイテク企業は15%で全国全ての地域・企業に適用。ベンチャー/環境保護・エネルギーや水の節約・安全生産/技術移転/農林漁牧/インフラ設備投資/西部地区重点産業、は優遇。・労働サービス・福祉・資源総合利用企業は減免または代替優遇措置)。
また、過去の法規により優遇が認められている企業は過渡的措置を取られ、低税率適用企業は新法施行後5年間は過渡的優遇措置が受けられ、期限を切った優遇が認められている企業は残り期間優遇を継続しますが、「利益が出た年から2年は免税、その後3年は5割減税」「輸出を主とする外資企業は減免」といった措置は段階的に廃止されます。
このほか、企業に対する法人所得税化や“居民企業”と“非居民企業”の概念(登記場所・実質的管理機構の所在地)の明確化と納税範囲の確定などの改革も行われます。
2007年1月1日から外資企業も国内企業同様、“城鎮”土地使用税を支払わねばならないなど、国内企業と外資企業の壁は次々と取り払われていきますが、同時に、政府による外資企業に対する目に見えない数々の制限をなくす努力も当然求められます。

三瀦先生のコラム