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 第276回 物権法の制定−その2−

(2007年5月7日)

今回の物権法についてその内容を詳しく見てみましょう。当然のことながらまず「公共の財産は不可侵」との前提の下、国の専属所有権を規定し、更に個人の所有権が及ばない国家専属財産と集団専属財産の範囲を明確に定めました。その上で、憲法に規定された「社会主義市場経済」の原則に基づき、国家・集団・私人等の物権は同じ「競技規則」の下で同様の責任を負うべく「平等に保護を受ける」と規定しました。同様な権利の侵害を受けても個人に対する補償は国や集団より少ない、ということも、また外資企業がある日突然立ち退きを命じられて泣き寝入り、ということもなくなるはずです。
各地で問題になっている土地などの収用についても規制が強化されました。集団所有の土地や、職場または個人の家屋その他の不動産を収用する際には、土地の補償費や取り壊し移転補助費を支払い、土地や建物などを収用された農民や住民の社会保障費の手当てを充分に行い、その合法的な権益を守り、居住条件を含めその生活を保証することが義務付けられました。失地農民の流動人口化を阻止する重要な施策でしょう。注目の土地使用権は、耕地30年・草地30〜60年・林地30〜70年で、農地の期限内での使用権売買も認められました。宅地は70年で、満期後も国の規定に基づき延長が可能になりました。
国有財産流出防止に関しても重要な規定が盛り込まれました。まず「国有財産は国務院が国家を代表して所有権を行使」し、「全人代の代表は国家の重要な問題は審議するが、具体的な執行に口出しはできない」ことも明らかにされました。また、国有企業再編の過程で大量の国有資産が流出している問題に関連し、「企業の再編・合併・分割・関連取引などを通じて、低価格による譲渡・私的分配・担保物件への流用などによって国有資産が損失を蒙った場合は法的責任を問う」という文言も加えられました。
生活上の問題では、団地の駐車場と車庫について、「住民のニーズを最優先し、原則的には入居者の購入・不動産会社からの寄贈・入居者への貸与などそれぞれの規定に従い、それがない場合は入居者の共用」とされ、また、日照権についても明確に規定されました。  
なお、この法律が過去に遡って適用されない、と明言されたことも記憶しておくべきでしょう。

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