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 第282回 農村の金融システム整備

(2007年6月25日)

「新しい農村を建設しよう!」という掛け声が声高に叫ばれていますが、問題は資金。起業しようにも元手がない、資金が借りられない、これが多くの農民の悩みです。それゆえ、2006年の党中央1号文件は農村金融体制改革を大きく取り上げ、自然人や零細企業向けに貸付を行う自然人・企業法人・社団法人による小額貸付組織の育成が叫ばれました。
こういった中、クローズアップされたのが農村金融の主力、農村信用社の改革。2005年末の資産総額は3兆7206億元に達しましたが、株式化されても理事会・監事会がないなどコーポレートガバナンスが確立されておらず、農業支援という本来の役割に対する認識に欠け、対農業貸付比率は低迷、支店網も貧弱で、更に手間がかかる農民向けの小額貸付は自ら敬遠、と問題山積でした。そこで2006年春、銀行監督管理委員会は「今後5〜10年かけ農村信用社の財産権を明確にし、地域社会向け農村銀行に育成する」との方針を掲げ、同年を、「“農村合作金融改革”を全面的にスピードアップする年」と位置づけました。
同年4月、周小川中国中央銀行総裁は、「農村信用社は商業化の道を歩み、モラルハザードに対処した市場退出メカニズムを確立すべきだ」と述べ、農業銀行の県レベルの機構には県域経済のバックアップを、また、農業発展銀行には様々なタイプの政策ローンを担うべく組織の見直しを求めました。
2006年12月22日、銀行監督管理委員会は『農村地区銀行業金融機構参入許可政策を調整緩和し、社会主義新農村建設をより良くサポートすることに関する若干の意見』を公布、各種の資本が主に農家に金融サービスを提供する村鎮銀行を農村に設立することを奨励し、吉林・内蒙古・湖北・青海・甘粛・四川の6省(区)を最初の実験地域に指定しました。 
年明けの2007年1月、民生銀行・北京農村商業銀行・天津農村合作銀行など商業銀行7行と農村合作銀行が農村地区にテスト的銀行金融機構を設ける申請をし、外資系銀行も追随、更に2月には、四川・吉林・青海などで新しい農村銀行業金融機関の設立が認可されました。銀行監督管理委員会は上記の政策を積極的に推進するため、最近矢継ぎ早に3本暫定規定とその手引きを完成させ、環境整備を精力的に進めています。この動きが今後どう進展していくのか、中国の農村にとって2007年は大きな節目の年となりそうです。

三瀦先生のコラム