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 第287回 消費者の権利

(2007年7月30日)

消費者の権利を保護する最初の法律『中華人民共和国消費者権益保護法』が最初に公布されたのは1993年10月のこと。その後、電信・不動産・食品・薬品といった産業別法規や品質・修理などに関する法律、更には2006年10月に『小売業者販売促進行為管理規則』が施行されるなど徐々に法整備が進められ、また、毎年3月15日を消費者の権利擁護の日としたキャンペーンも盛んに行われています。
消費者の権利主張も盛んになってきました。人民日報2006年12月27日付『業界の闇ルールに挑戦』は、「国家版権局がカラオケ業者の著作権使用料について定めた基準を広州と上海の業者が拒否、業者によっては消費者にその分をかぶせようとしている」例、「北京で酒の持ち込みに対し持ち込み代100元を徴収したレストランが敗訴したことに対し、温州のレストラン23軒が持ち込み謝絶を宣言した」例、「携帯充電器統一化の動きに対し、原価10元足らずのものを数十元で売っていた企業側が困惑している」例などを暴露、「WTO加盟後、消費者や政府が消費者の権益擁護を重視し始めたことは進歩であり、これに対し企業側が自分の権利を主張することも一つの進歩と言える」と分析しています。
消費者の権利を守るためにまず必要なことは、消費者の意見をしっかり吸い上げること。
消費者の苦情受付として設立された“12315” ホットラインはその後、国家商工総局から末端の商工所に至る5段階のネットワークに発展し、現在は広大な農村にも“一会両站”(郷鎮の消費者協会分会と行政村の12315連絡所・苦情受付所)の設立が積極的に進められています。また、先進地域では2004年から長江デルタで始まった15都市(上海・南京・蘇州・杭州・寧波・温州など)を網羅した消費者権利擁護ネットのように、いつでも何処でも訴えられる体制を整える動きも見られます。
最近の消費者の意識変化を端的に示す例として、鉄道・道路・航空のキャンセル料徴収方法の問題や「マイカーは贅沢品だから消費者権益保護法の適用外だ」とする成都市中級人民裁判所の判決に対する疑義などが挙げられます。一方、広東省で『広東省クリーニング業者消費トラブル解決規則』が設けられたり、中国移動通信が一方的な契約条項の全面廃止を宣言したことなどは、消費者の意識向上に対応した動きとして注目されます。

三瀦先生のコラム