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第296回 非公有制企業の伸張−その2−
(2007年10月9日)
中小企業がほとんどの民営企業が、起業し経営していくための最大のネックは何といっても資金問題。新農村建設が叫ばれている今日、農民や中小企業に対するローンの整備が喫緊の問題として俄かにクローズアップされています。
2007年1月10日、中国農業銀行河北省支店が、同省県域経済発展をサポートするため、1050社の中小企業を選び、103億元集中与信と、今後毎年100億元追加することを発表しましたが、大銀行が大企業への融資に偏重し、一部の商業銀行が、開設している口座の金額が一定ラインに満たない企業に対し関門を設けていることに対し、中国人民銀行も「これは明確に規則違反である」との判断を打ち出しました。また、商務部も2001年から中小企業の国際市場開拓資金を拠出し、既に10万件に対し資金援助をしていますが、このほかに技術革新の支援も欠くべからざる重要なテーマになっています。
資金供給のほかにも様々な障害があります。2007年5月30日の人民日報特集記事によれば、例えば、2005年6月、商務部が精製オイルの卸売りに参入する企業は資本金1000万元以上で30以上の石油スタンドを保有していなければならない、としたことで多くの民営企業がこれに反発、スタンド数の制限は漸く撤廃されましたが、このような独占的分野での参入制限規則による差別や、税収優遇措置での差別、更には政府機関による“たかり”行為も少なくないとのことです。
こういった様々な壁を打ち破るいくつかの措置が打ち出されています。国防産業への私営企業の参入・個体企業に対する所得税控除ラインの引き上げなどがそれで、2006年末までに非公有経済を支援する200件余りの政策や規定が打ち出されました。最近、鉄道建設への民間資本の参入が急増しており、同記事では、石家荘と太原を結ぶ石太旅客専用路線などが紹介されていますが、こういった公共工事への門戸開放は今後急速に進むでしょう。また、奥凱航空・春秋航空など民営会社の航空業界への参入も実現していますが、機体購入割り当てや操縦士の調達などといった面での規制緩和が急務でしょう。日本では郵政民営化の成否が注目されていますが、同記事は「典型的なのは郵政事業だ。250グラム以下の郵便は国家郵政局の独占だ」と結んでいます。