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 第302回東北振興政策の現状−遼寧省−

(2007年11月19日)

珠江デルタ・長江デルタ・環渤海湾に続く第4の成長株、東北地区。その中で遼寧省の発展振りが目立ってきました。遼寧省の2007年上半期生産総額は4419.9億元(前年比14.8%増)で、省地方財政一般予算収入は30%以上の増加振り。環渤海湾の一角を担う同省の特徴の一つは2200km余りに及ぶ長大な海岸線(港湾転用可能部分430km)。これを利用して北朝鮮国境から西へ、丹東・庄河臨港工業パーク・大連長興島・営口沿海産業基地・遼西錦州湾と結ぶ“五点一線”沿海経済ベルトを形成し、遼寧省はもとより、東北振興の起爆剤にしようという動きが現実化しています。国務院もこれを後押しし、既に上海の洋山・天津の東疆とともに大連の大窯湾に保税港区の設立を認可しています。
同省の最大の特徴は重工業で、瀋陽市の鉄西地区は1930年代から工業が盛んになり、一時は「中国のルール地方」とさえ呼ばれました。しかし、90年代には3分の一の労働者がレイオフされるなど不況のどん底を味わい、漸く2002年6月から同地区を瀋陽経済技術開発区と合併させる“東搬西建”政策がスタート、更に2005年に省政府が設備製造業集中地域の建設を決め、350平方キロに及ぶ瀋西工業回廊が設立されました。2007年6月、国務院は同地区を全国初の「旧工業基地調整改造並びに設備製造業発展モデル地区」に指定、2010年に1200社、生産額2400億元を目指しています。
この発展の追い風となったのは高級デジタル制御工作機械の開発。中国は近年、高級工作機械のほとんどを輸入に頼ってきました。そこで全国の工作機械の4分の一を生産する遼寧省に国産技術の開発が求められたのです。一方で発展の最大のネックだった国有企業改革も大幅に進展し、2007年、国有大型企業の株式制度改革がほぼ完成、国有中小企業も90%を越える485社が財産権改革を完了。混合型所有制経済も大いに発展し、大連造船と大連新船の合併、瀋陽機床のドイツ企業買収など企業再編も進みました。
2006年、設備製造業は化学工業・冶金工業を抜いて省内一の主要産業に成長、2007年上半期には工業利潤新規増加分の80%が設備産業からもたらされました。瀋陽機床・大連機床は工作機械企業の世界10傑に入り、遼寧省は全国設備産業178種類中58種類(32.6%)で最先端レベルに達していると言われています。

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