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 第317回都市交通の整備−公共交通の役割−

(2008年3月10日)

北京:定住人口1300万、流動人口300万、自動車300万台、毎月平均増加量32000台
上海:定住人口1334万、流動人口400万、自動車110万台、毎月平均増加量 8000台
それぞれオリンピックと万博を控えているこの2大都市でいま、交通渋滞が大問題。そこで両都市とも、公共交通を充実させ、マイカーの使用を抑制しようと躍起になっています。
北京では2007年1月1日から公共交通を優先的に発展させるいくつかの措置が実施されました。まず、公共バスの単一路線の切符は一律に1元とし、「市政交通カード」による乗車は市内47本の路線で普通カード6割引、学生カード8割引にしました。ある市民は、「普通カードによる毎日の通勤が往復8角(0.8元)、1ヶ月22日間に換算すると17.6元、それまでの月定期の45元に比べ、費用が半額になった」とのこと。
この措置により、同年5月末までにICカード1100万枚が売れ、北京市民の3人に一人がこのカードを携帯するようになりました。1日平均の公共バス乗車数は延べ1200万人と実施前に比べ延べ250万人増加、外出に占める公共交通利用の割合も2005年の28.1%から30.2%に増加しました。予測では、2012年には延べ2800万人が利用し、公共交通利用率も50%に達すると見られています。
上海では2002年に『上海都市交通白書』を公布し、「軌道交通を骨幹とし、公共バスを基礎とし、タクシーを補助とする」交通インフラ整備を提示、現在、上海ではこの3種で1日平均延べ1230万人を輸送、外出者に占める割合は30%に達しています。市では2007年、『上海市2007−2009年都市公共交通優先発展3年間行動計画』を策定、1100億元を投じて総合的な交通インフラ整備に取り掛かり、また、公共交通利用に対する優遇措置として、同年10月27日から全市の5本の軌道交通と市街地区409本のバス路線の間の乗り換えに毎回1元の優遇措置も実施、2010年に先進国並みの公共交通利用65%実現を目指しています。
このほか両市とも、公共交通専用道の確保、各交通機関を接続する乗り継ぎステーションの増設、更にGPSを用いたバスの効果的運行管理システムの整備を進め、乗客サービスの向上としてエアコン設置車の導入も積極的に推進しています。こういった都市交通の整備は他の大都市にも次々と波及しており、今後大きな市場を形成していくことでしょう。

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