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 第三十二回  中国考古学最近の成果

妙に現代的な顔立ちの美人。長沙馬王堆で発見された2200年前の丞相夫人幸追、日本の新聞にも紹介された、彼女の顔の復元図を覚えていらっしゃる方も多いと思います。19世紀末に発見された甲骨文と、それが手がかりになって1928年から発掘が進められた殷墟を皮切りに、20世紀、中国考古学では世界を驚かす発見が相次ぎました。
2001年3月、中国社会学院は多くの国内外の専門家に依頼して<20世紀中国考古学100大発見>を選出し、その上位には、北京周口店の北京原人/河南省安陽県の殷墟/秦の始皇帝の兵馬俑/馬王堆の発掘/陝西省の半坡遺跡 /河南省の二里頭文化/三星堆遺跡の発見などが並んでいました。
始皇帝陵からはその後も、文官の陪葬坑や、青銅器製の動物などの発見が相次いでいますし、三星堆遺跡の近くでは更に類似の発見も報じられました。
文化面では、河南省舞陽賈湖遺跡の発掘で、既に9000年前に淮河流域で稲作文化が栄えていたことが証明されましたし、江西省角山の殷代の竈は磁器の歴史を1000年も遡らせる発見となりました。特異な発見では、山東省大站口遺跡の出土品から、約5000年前に開頭手術が行われていた事実が明らかになりました。三国志に興味がある人の胸をワクワクさせているのが、1996年に長沙で発見された呉の竹簡で、その数15万枚。後漢の献帝から呉の孫権の時代の物というのですから、まさに三国志の時代。昨年8月に各国の研究者が集まって解読が始まりました。一方、1999年、遼寧省西部で発見された1億3千万年前の小型恐竜“奔竜”は体長80センチの肉食恐竜で、骨格は鳥類と酷似しており、羽毛らしきものに覆われていました。この発見は、現代の鳥類が爬虫類から進歩した、という学説に対する有力な反証として、世界中を驚かせました。また、今年4月には、同じく遼寧省で1億3千万年より以前の、世界で最も古い、胎盤を持った哺乳類の化石が見つかりました。
こうした貴重な発見が相次ぐ中国ですが、2000年に発見された5平方キロに及ぶ宋代の白帝城はまもなく三峡ダムのそこに沈んでしまいます。貴重な多くの遺跡の保存にも一層努力して欲しいものです。

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