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 第353回通信事業の動向−3G時代へ−

(2008年11月25日)

TD−SCDMA(中国独自規格)が動画の送受信が可能な第3世代携帯電話(3G)技術の一つとして国際的に認定されたのは2000年のこと。その後、2002年に8社によるTD産業連盟が結成され、2004年には大唐移動が最初の試作に成功、2006年にはWCDMA(NTTドコモ・エリクソンなど)・CDMA2000 1X(アメリカのクアルコム)と並ぶ中国国内の正式な通信産業規格として認定されました。
2007年5月、中国連合通信はGPRS無線業務の開始を宣言、これにより、2GのGSMを使っている1.1億人のユーザーも携帯からのインターネット接続が可能になり、2.5Gへと昇格しました。同年、北京・上海など10の都市でTD−SCDMA商用テスト用のネットワーク建設が開始され、2008年4月1日から、中国移動(チャイナモバイル)のよって北京・上海・天津・瀋陽・広州・深圳・厦門・秦皇島の8都市でいよいよ商用テストが開始されました。「これまで国際的な場で中国の代表は“3S代表”、即ち“smile ”“silence”“sleep”するしか能がない、とからかわれていた」と嘆く中国にとって、やっと「雌伏から立ち上がるときが来た」のです。
用意されている端末機種は8種類で、すべて3GのTD−SCDMAと2GのGSMに対応しています。一部顧客への無料提供、一般向けの有料加入という形式で実施され、8つの実験都市ではほぼ95%以上GSM網と同様の地域をカバーしたことにはなっているのですが、オリンピックも経て、使用者からの感想は、まだあまり芳しくはありません。北京や上海でさえ、場所によって使用不能が多すぎる、また室内でうまく拾えないといった苦情が多く出ています。また、相手が3G端末を持っていなければテレビ電話もまだ使い物になりません。更に5月始めにTDチップメーカー凱明が倒産したことも暗雲を投げかけました。
今、2008年3月の国務院機構改革で新設された工業・情報部が音頭をとって、強力なTD−SCDMAの後押しが行われています。2008年の中国移動の6月中間決算は純利益が前年同時期を44.7%上回る8700億円に達しており、毎月700万の新規加入がもたらす豊富な財源をフルに使って商用テスト範囲は更に拡大、2009年6月には38都市に拡大される計画です。キャリア再編も加速する中、まだしばらくは試行錯誤が続くものと思われます。

三瀦先生のコラム