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 第三十八回  中国の中央アジア外交

 去る6月18日、江沢民主席がアジア.東欧歴訪の旅から帰国しました。今回の旅は、カザフスタンの首都、アルマトイで開催されたアジア相互協力信頼醸成会議(CICA)とペテルブルグにおける上海協力機構首脳会議への出席、更に、バルト三国とアイスランドへの訪問が目的で、中国のユ−ラシア外交の展開を強く印象付けました。
 旧ソ連崩壊後、中国は新疆ウイグル自治区の安定と21世紀に向けた新たなシルクロ−ド"ユ−ラシアンランドブリッジ" (東は連雲港から中央アジアを経由して西はオランダまで)の構築へ向けて積極的なアプロ−チを開始しました。特に、このル−ト沿いには豊かな石油、天然ガス資源があり、21世紀のエネルギ−問題にも深くかかわります。
 まず、ロシアとは、1991年の国交樹立以後、相互の信頼醸成に努め、2000年7月には<北京宣言>に署名、両国の戦略的パ−トナ−シップをうたいあげ、昨年7月にはモスクワで<中ロ善隣友好協力条約>に調印、同盟関係を目指さず、いかなる第三国や軍事政治同盟とも対立しない(アメリカやNATOなど)ことを前提に、多方面にわたる交流、また、国際関係における密接な協力関係を推進することで合意しました。
 一方、1996年には、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン5カ国が上海に集い、"上海ファイブ"を結成、翌年には<国境地区軍事力相互削減協定>に調印、国境画定問題も精力的に解決し、昨年6月にはウズベキスタンを加えた6カ国が上海協力機構を発足させ、その後、まず、9月に総理級首脳協議と貿易に関する大臣級協議を、今年に入ってからは、外相、文化相、国防相、公安相レベルの協議が続々と開催されました。
 各国は、3つの勢力(テロリスト、独立運動、イスラム原理主義)、具体的には新疆の東トルキスタン独立運動、チェチェン抵抗勢力、ウズベキスタン国内イスラム原理主義勢力を抑え込むことで利害が一致しています。今回のペテルブルグにおける上海協力機構首脳会議では、<上海協力機構憲章>が制定され、また、キルギスに地域反テロ機構総本部を設置することを採択しました。今後、反テロの総合軍事演習も計画されていますが、6カ国で世界の人口の4分の一、面積の5分の一を占めるこの巨大な機構は、アメリカの一極支配に対して、今後、徐々にその存在感を増していくことでしょう。

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