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 第三十九回  出版業界の現状と話題

 去る4月30日から13日間に渡り、北京の地壇公園で、2002年北京春の書籍市が開催され、毎日、10万人あまりの人々が来場しました。インタ−ネットが日の出の勢いとはいえ、書籍への需要は今だ健在というところでしょうか。最近各都市にお目見えしている“書城”などと呼ばれる大規模な書籍専門店を覗くと、どのフロアも人で一杯。人気のあるコ−ナ−はというと、まず第1がWTO関係、続いて、企業経営や利殖関係、更には家の内装、レジャ−といったところでしょうか。専門書籍のところでは、買うお金のない学生風の若者が腰を下ろしてしきりにノ−トをとっている姿もよく見かけますが、店員が注意することもなく、所によってはどうぞとばかりに椅子や机を用意したコ−ナ−さえあります。
中国出版界は今年、大きな転機を迎えました。歴史のある著名な出版社、たとえば、文学関係の出版で知られ、2000年に<百年百種優秀中国文学図書>を出版した人民文学出版社が昨年、創立50周年を迎え、また、1912年に上海で陸費逵が創立し、<二十四史>をはじめとする学術書の出版で知られた中華書局は今年、創立90周年を、<新華辞典>、<現代漢語詞典>を世に出し続けた商務印書館は105年を迎えましたが、それらの有名書店が大同団結したのです。
今年の4月9日、北京の人民大会堂で、“中国出版集団”の成立大会が行われました。参加した企業は人民文学出版社. 商務印書館.中華書局.三聯書店、新華書店といったお馴染みの書店に中国出版対外貿易公司などを加えた13社で、従業員5000人以上、総資産額50億元、2001年販売収入25億元という巨大出版グル−プが誕生したわけです。
今回の大合同の目的について、人民日報は「“中国出版集団”の成立は疑いもなく、WTO加盟に対する対応であり、競争力をつけるための重要なステップである」「中国出版界は大型船の時代に入った」と論評しています。
中国出版界は、1998年に広州出版集団が成立したのを皮切りに、再編の時代に突入しましたが、中華5000年の歴史、文化、学術の成果を、13億の中国人民のみならず、世界の人々に伝える役目を維持するためにも、一層の奮起が望まれます。

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