企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

LastUpdate:

 第398回貧困対策

(2009年11月04日)

2009年3月、政府は、2008年の物価上昇率を考慮し、貧困扶助新基準を年収1196元に引き上げました。これにより対象者は、2007年の1479万人(絶対貧困基準785元以下の者、農村人口の1.6%)から4007万人に増加しました。
中国では、貧困者に対して、2007年までは2つの基準が存在しました。一つは1986年に制定された『絶対貧困基準』(年収206元以下の農村人口)で、その数は当時、1億2500万人(農村人口の14.8%)に達しました。もう一つは2000年に制定された『低収入規準』。年収865元以下の農民が対象で、当時の低収入人口(絶対貧困人口を除く)は6213万人と発表されました。
<中国農村貧困扶助開発綱要(2001-2010年)>により貧困対策が再び加速する中、2007年末には低収入基準が1067元に引き上げられましたが、それでも低収入人口(絶対貧困人口を除く)は既に2841万人に減少していました。こうした状況を受けて、2008年になると政府は1月に30元、7月に20元ほど都市と農村の最低生活補助レベル引き上げると同時に、年末には、絶対貧困基準と低収入規準を一本化し、貧困扶助基準も引き上げました。そして今後の貧困扶助戦略を、労働力を喪失したかあるいは労働力のない人々に対する最低生活保障、という救助を目的とした貧困扶助と、労働能力のある貧困者に対する開発的貧困扶助の両輪で展開する方針を打ち出しました。
2009年1月、企業退職者の基本養老年金が2005年から4年連続で引き揚げられる一方、中央政府はリーマンショック後の経済危機に対処し、春節を控えて困窮者の不満を抑えるために都市と農村の貧困家庭と優遇保障対象計7400万人に対して90億6700万元の生活助成一時金の支給を決めました。其の中身は、農村の最低生活保障対象者や“五保”(衣・食・燃料・教育・葬儀の保障)対象者には一人当たり100元、都市の最低生活保障対象者には150元、優遇保障対象(新中国成立前に入党した共産党員など)には180元を支給するというもので、今年3月の貧困扶助新基準は其の上での更なる措置ということになります。
2008年、東部沿海地区の15省市は、西部11省区に対して6億7400万元の貧困扶助を行いましたが、各行政レベルでの様々な工夫と取り組みも切実に求められています。

三瀦先生のコラム