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 第408回不動産バブルにどう対処?−その2−

(2010年1月25日)

不況とはいえ、2009年第一四半期の不動産価格は北京でもまだ30%はバブルと言われ、デベロッパーも前年に抱え込んだ土地の消化がさほど進んでおらず、消費者は先行きの安値を見込んで買い控え傾向が否めませんでした。其の一方で、第一四半期の不動産企業の資金は、潤沢な貸付資金の提供もあって前年比9.2%増の1兆元を記録し、中央政府や各地方政府の様々な住宅消費優遇政策を背景に、企業側があの手この手で消費者心理を煽る行為も顕著になりました。5月の不動産市場は全体としては回復傾向が見えつつも、実態はこういった異なる要素のせめぎ合いの時期であったと言えましょう。
6月に入ると、市場は一挙に動き出し、北京・天津・上海・広東といった先進地域で取引面積が軒並みアップ、早くもバブルの様相を呈し始めました。この背景にあるのは、やはり、豊富な資金の流入でしょう。2009年上半期に政府が放出した貸付資金は6兆元を超え、その一部がどっと不動産市場に流れ込み、投機目当てに大都市の人気スポットの買占めに走ったのです。したがって、この時点で一般の多くの都市の不動産価格は依然として低迷していましたが、変化の兆しも現れました。不動産企業は豊富な資金援助を手に入れたことで、資金繰りが好転し、慌てて安値で投売りして短期の回転資金を捻出する必要が薄れ、価格維持に走り、消費者側は、物価が上昇傾向を見せ始めたことから先行きの値上がりを意識し、買い控えに不安を感じ始めたことです。企業側はこの心理につけ込んで、前金は10%でOK、購入契約後の解約自由といった優待条件を掲げて消費の喚起を図り始めました。
一部の不動産が顕著に値上がりし始めたことが投機好きの中国人の心理に火をつけ、それが燎原の火の如く広がり始めました。「今こそ儲けるチャンス、バスに乗り遅れるな!」というわけです。これを期に不動産バブルが一挙に走り始めました。セカンドハウス取得時の「頭金40%、利率は1.1倍」という条件を緩める傾向がさらにブームに火をつけ、7月、北京朝陽区のマンションが1ヶ月で1平方メートル当たり5000元値上がりするなど、バブルは本格化し、その勢いが年末まで続きました。2010年1月18日、不動産価格を押し上げる銀行融資を抑制すべく、中国人民銀行は預金準備率の0.5%引き上げを実施しましたが、その効き目がどの程度あるかに注目が集まっています。

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