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 第418回中国映画産業の話題

(2010年4月12日)

2008年は改革開放30周年、これを記念して中国映画家協会映画文学創作委員会が『改革開放30年優秀映画脚本』選出活動を行い、1978年から2007年までのおよそ5000本余りの中から『芙蓉鎮』『人至中年』など50本の作品を選びました。また、2009年の建国60周年に当たり、国家広電総局電影局は40本の国産映画を推奨、2010年の春節には、Xマスからの80日間に50本余りが投入され、中国映画界は空前の活況振りを見せました。
中国映画は、1949年の建国後しばらくの間、ソ連の映画をお手本に、国の政策に奉仕する武器としての位置づけがなされ、政治的ロマンの域を出ませんでした。1978年の改革開放後はこのくびきから徐々に開放され、海外映画の影響を受容する中、新しい映画製作者も育ち始め、2002年以降は産業化が急速に進んで、2004年の広電総局の『わが国の映画産業の発展を加速させる若干の意見』で民間資本に門戸を広く開放しました。これにより、2008年末には、全国300余りの映画会社のうち民間会社が75%を占めるに至っています。
2009年国慶節期間の映画の興行収入は2億2000万元と2002年の年間収入にも匹敵し、年間総収入は60億元にも達しました。しかし、その一方で、わずか5、6年で急発展した中国映画界が直面する新しい問題も顕在化しました。例えば、2008年の国産映画は406本と世界第三位に達しましたが、35本の主要映画館系列で上映されたのは100本に過ぎず、主な8本の映画で興行総収入の四分の一を占めています。秋の国慶節期間中は、最も推奨された8本の映画に絞っても、『建国大業』と『風声』の大ヒット以外は惨憺たる成績でした。
最近の中国では、映画の封切が、正月、5月のゴールデンウイーク、夏休み期間、国慶節期間と固定化する傾向が強く、この間に集中して大量の映画が投入され、互いに客を奪い合っています。期間とか対象に応じた棲み分けやジャンルの設定、新しいジャンルの開拓という工夫をせず、同工異曲的作品を集中させれば、共倒れになるのは目に見えています。
映画館の配置も大問題です。2002年の1000軒余りから2009年には4700軒に増えたものの、ほとんどが大都市に集中、人工が100万人を超える都市で全く映画館がない都市は350を数えます。例えば遼寧省では、主要12都市のうち人口140万の撫順など8都市に映画館がありません。1枚30元もするチケット代の問題も含め、消費者への配慮も大切な問題です。

三瀦先生のコラム