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 第419回最近の少数民族政策-その1−

(2010年4月19日)

2008年の四川大地震に続いて、また青海省の少数民族地区を中心に大地震が起こりました。地域が地域だけに、政府の対応が注目されています。
中国は56の民族からなる多民族国家であり、5ヶ所の民族自治区、30の自治州、120の自治県、1173の民族郷を抱えています。少数民族の総人口は1億人余りで人口の8%以上をしめ、何よりもその居住地域は国土全体の64%も占めています。これらの地域は多くが西部地区にあり、近年豊富な地下資源が次々と発見され、それらを目当てに漢民族の流入が急で、様々な問題を醸し出しています。また、56の民族のうち30民族以上がその地域に接する国境外に同一民族が存在するという複雑な問題を抱えており、分離独立運動などの火種が尽きることなく、もし一箇所でほころびが生ずれば、燎原の火の如くドミノ現象が起きる可能性は否定できず、中国政府にとって相手国政府と友好関係を保ち、平和裏にこれらの動きをうまく抑え込むことは至上命題とも言えましょう。
ここ数年でも、北京オリンピックを機にチベット問題が国際的に注目を浴びましたし、新疆では、同じ2008年にウルムチ、クチャ、カシュガル、ホータンなど各地でテロや襲撃事件が発生しました。こうした緊迫した状況を背景に、建国60周年を迎えた2009年は、秋の国慶節に向けて万全の治安体制を構築すべく、少数民族対策に特に力が注がれ、早くも2月に、宣伝部は<党と国家の民族政策宣伝教育手提綱>を発し、その中で「国際的な敵対勢力が“民族”“宗教”“人権”などを旗印にわが国に対し手行う西洋化、分裂活動に旗幟鮮明に反対し、これを押さえ込み、民族分裂勢力、宗教過激勢力、テロリストたちが各種の手段を通してわが国に浸透し、破壊活動を行うのを徹底して防ぎ、断固としてやっつけなければならない」と檄を飛ばしました。
4月9日には、2008年8月4日のカシュガル事件の2人の主犯に死刑が執行されましたが、その後6月にかけては、10月の建国60周年記念へ向け、中国の民族区域自治制度がいかに素晴らしいものであるか強調するキャンペーンや記事が人民日報に次々と掲載され、6月16日付では、苗銀柱署名の『和やかな民族関係を構築しよう』という文章も掲載されました。しかし、そのわずか半月後の7月5日、新疆で大暴動が発生しました。続きは次回に。

三瀦先生のコラム