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 第426回地域発展構想の新展開−その2−

(2010年6月14日)

先週列挙した12の地域発展プランのうち、海峡西岸経済区、関中−天水経済区、江蘇沿海地区発展計画などは最近既に個別のテーマのなかで紹介しましたが、これらの計画は全体としてどんな構想に基づくものでしょうか。まず、6の図們江地域協力開発計画、8の黄河デルタ高率生態経済区、5の江蘇沿海地区発展計画、1の海峡西岸経済区、11.の海南国際観光島建設という順に北から地図上の位置を確認してみてください。これらの地域プランが、環渤海湾経済圏・長江デルタ経済圏・珠江デルタ経済圏・北部湾経済圏の狭間を埋め、北から南まで中国の沿海を切れ目なく繋げる沿海ベルトを完成させるものだ、ということが一目で見て取れるでしょう。そしてまさにこれらをつなげる働きを果たすものとして高速鉄道や高速道路の整備が猛烈なスピードで進行しているのです。
もう一つ、12の皖江都市ベルト産業移転受け入れモデル地区と9の鄱陽湖生態経済区を見てください。これらの地域は、横の連動では東部沿海地方の発展を承けて7にある中部地域振興促進計画に繋げ、一方、縦の連動では90年代に建設された華北と華南を結ぶ京九線を拠り所に南北の連携を支えつつ、昌九工業ベルトを中心に京九鉄道経済発展ベルトを構築して、自らを発展させようと意図しているのです。
この動きは更に西へと連なっています。河南省鄭州と陝西省西安を結ぶ高速鉄道の開通、長江沿いに成都に至る高速鉄道の建設は、横の連動が直接関中−天水経済区や成渝経済圏に伝わる事を意味し、更にその先には膨大な地下資源が眠る新疆、チベット、大西南があるわけです。こうしてみると、この12の地域発展プランは、まさに20011年からの第12次5ヵ年計画を遂行する上で欠かせない前提であり、中国全土を一つの運動体として捉えた総合プランの一環である事がわかります。
今後の中国の地域発展プランの大きな特徴の一つは、国境沿いに位置する中国の経済圏に隣接する外国を取り込み、国際経済圏を形成する事で周辺の国々を中華経済圏に取り込もうとしている事でしょう。そのために中国はこれらの国々との国境領土の問題を精力的に解決し、その結果、すでにASEANや中央アジア諸国、モンゴル、北朝鮮、ロシアの沿海州などとの国境は非常な活況を呈してきています。

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