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 第429回海洋に関わる諸政策

(2010年7月5日)

近年海洋大国を目指す動きが高まっている中国。海洋総生産額は2007年2兆4929億元、2008年2兆9662億元、2009年は3兆1964億元で国内総生産の9.53%を占め、海洋産業の発展も急速に進み、環勃渤海湾・長江デルタ・珠江デルタの三大経済圏における海洋生産総額は国全体の88%を占めて、その勢いは沿海の各地方に切れ目なく広がっています。
2008年2月に中国初の<中国海洋発展報告>が出されると、5月には中国初の海洋領域総合プラン<国家海洋事業発展プラン綱要>が海洋局から発布されました。この、2020年を視野に置いた第11次5カ年計画期間(2006〜2010年)プランには、国内総生産に占める海洋総生産の比率を11%以上にする事や、海洋経済の発展に対する海洋科学技術の貢献率を50%に高めること、水不足に悩む沿海地方への海水利用による貢献率を16〜24%にする事などが盛り込まれました。また、国際面では海底資源の探査と採掘権の取得が強調され、2020年には“数字海洋・生態海洋・安全海洋・和諧海洋”を実現して海洋強国としての基礎を固める事が提唱されました。   
これと平行して、4月1日には<海域使用管理法規違反行為処分規定>も施行されました。食糧確保の国家戦略として18億ムーの耕地を死守する方針が打ち出され、土地の管理が厳しくなる中、海を埋め立てたり、島を崩したりといった違法行為が蔓延しているのです。90年代と比較すると、遼寧省で48個、河北省で60個、福建省で83個の島が消滅しているとも。政府は同年7月18日を全国海洋宣伝日として国民の意識向上を目指すと共に、1万8000キロの海岸線と300万平方キロの管轄海域に9機の飛行機と200隻余りの監視船、8000人の海上監視員を配置して目を光らせました。
2009年には、12月に<海島保護法>が全人代常務員会を通過し、2010年3月1日から施行されました。海島の生態環境の悪化、違法な占有と使用、数量の減少に対処する一方、同38条では、国防上の規定も明記され、領土問題との関わりが見て取れます。
2009年に人民出版社から出された張世平著『中国海権』がこの方面の専門研究書として紹介されていますが、着々と海洋立体観測システムを築きつつある中国の意図が、今後、軍事面・経済面・国際協調面のどういったパフォーマンスに繋がるのか、注目されます。

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