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第431回主要産業再編の動き−その2:通信業界(1)
(2010年7月21日)
通信業界の再編、それ自体は既に旧聞に属し、周知の如く2008年に再編方針が発表されて当時の6社が3社に統合される事になり、同年10月に中国網通と中国聨通が合併したことで再編を終え、中国移動(チャイナモバイル)・中国電信(チャイナテレコム)・中国聨通(チャイナユニコム)の三大通信会社がしのぎを削るようになりました。
2010年1月7日、中国政府は上記3社に対し3G業務の取り扱いを許可、いよいよ中国の3G時代が本格的な幕を開けました。3Gの特徴は、大幅なスピードアップに加え、動画や音楽などがダウンロードしやすくなり、電話会議やEコマースなどにも活用が広がることです。政府は中国独自技術のTD−SCDMAを中国移動に、アメリカで開発されKDDIが使っているCDMA2000を中国電信に、またヨーロッパで開発され、NTTドコモが使っているWCDMAを中国聨通にあてがいました。このことが3社それぞれにどういう得失を付与するのでしょうか。
中国移動があてがわれたTD−SCDMAの最大の利点は、中国政府が中国の独自規格として全面的にバックアップしている事です。2009年4月に中国移動の北京支社を訪問した国務院の張徳江副首相は、「断固としてTDのより急速な発展を促進する」「TD−SCDMAはわが国100年の通信歴史市場初めての独自の知的財産権を有するシステム化された通信基準である」「各地区各部門はTDのために積極的に良い発展環境を造り上げなければならない」とぶち上げました。
中国移動の更なるの利点は、2008年末で4億5000万人ものユーザーを抱えていた事です。その利潤は他の2社の総和の3.2倍にも達していました。その上、政府のバックアップもあるのですから圧倒的有利が予想されそうですが、弱点もあります。第一にTD−SCDMAを取り巻く産業集積の輪が未整備である事、第2にネットワークが不十分で大量の基地を建設する必要があること、加えて技術が部分的にはまだ発展途上にあることなどです。2009年12月、TD−SCDMAネットワークの第3期工事が完了、全国70%以上の地方市(中・東部では100%)に10万箇所の基地を建設し、また、中国聨通が導入するiPhoneに対抗するOPhoneも世に送り出しました。では他の2社の動きは如何に、それは次回に。