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 第459回電力価格の問題

(2011年3月22日)

2010年10月、国家発展改革委員会が『住民生活用電力価格段階設定に関する指導意見』の2通りのたたき台を発表しました。それによると、[第一案]は基本ランク:月平均110kw/h(一般電力消費家庭の70%)/第2ランク:月平均210kw/h(同90%)/第3ランク:月平均210kw/h以上で、[第二案]は基本価格:月平均140kw/h(一般電力消費家庭の80%)/第2ランク:月平均270kw/h(同95%)/第3ランク:月平均270kw/h以上、ともに、基本ランクは料金現行維持、第2ランクは1kw/hにつき5分以上、第3ランクは同0.2元以上となっています。
この案を巡って激しい議論が巻き起こっています。まず第一に弱者に対する減額がないことです。諸物価上昇の折、現在の電力価格でも電気の使用がままならない人がいます。特に農村では顕著です。世界各国と比較すると、価格自体はドイツの26%、アメリカの60%ですが、国民の平均収入に占める割合から見た相対価格ではドイツの4倍強、アメリカの10倍にもなるとのこと(2008年現在)。しかも、これまで農村のほうが都会より電力価格が高かったわけですから、こんな不公平な話はありません。
地方別の配慮を欠くことにも批判が集中しています。広大な中国では、北方は夏は涼しく冬はスチーム暖房がありますが、南方は夏も冬もエアコンや電熱器が必要で、電気代がかかります。「それが同じ価格システムでは不公平だ」と言うものです。
そもそも、「今回の案を策定するプロセスでの公開が不十分で、政府は電力企業の言いなりではないか」と言う批判もあります。
2009年の全国住民生活使用電力量は4571億kwで、第一案の場合だと電力ネット企業の増収は年170億元に達します。勿論企業側は「電力価格が低いために赤字で補填が必要になっている」と主張しますが、その一方で社会の水準をはるかに上回る高給・高福祉を享受し、豪華な社屋におさまっていることは周知の事実です。
また、中国の電力関係企業は電力ネット企業と発電企業に別れ、電力ネット企業は発電企業から入札で供給を受けるため、増収分をすべて電力ネット企業に吸い取られてしまうのでは、と発電企業側の疑心暗鬼は晴れることがありません。

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