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 第475回山東半島藍色経済圏

(2011年7月4日)

国全体が産業構造の転換に迫られている中国で、2009年生産総額が全国3位の山東省も、経済成長を主として工業に頼っていたため、サービス産業の発展が工業に追いつけず、都市化、市場化が遅れて労働者の就業問題に影響を及ぼしていました。この状況を打破しようと、2009年以来、省政府は次々と新産業振興政策を打ち出し、2010年は2730億元を投じて新エネルギー・新素材・新情報・新医薬・海洋開発の5大新興戦略産業に力を入れ、一方サービス業を発展させるため、金融保険・現代物流など10大領域にも力を入れ始めました。
こうした中、同省の3345kmの海岸線と200を超える港、320もの島々は発展にとって大きな利点です。特に港湾は2009年時点で総呑吐量7.3億トン、青島・日照・煙台の3港はそれぞれ1億トンを越え、水深の深いバースも184本あります。そこで浮上したのが山東半島藍色経済圏。2009年11月に<黄河三角州高効率生態経済区発展計画>が、2011年1月には<経済区発展計画>が国務院で承認され、山東省は大きなチャンスを手にしました。特に後者は中国で最初の海洋経済をテーマにした地域発展戦略であり、全国に先駆けたモデルケースとしても注目されています。もともと山東半島は、北は環渤海湾経済圏・黄海経済圏・東北経済圏に絡み、南には長江デルタ経済圏があり、海の向こうは韓国と日本で、すでに海洋漁業・海洋塩業・海洋化学工業などの伝統海洋産業は充実、最近は、海水の総合利用や海洋エネルギー・深海資源の開発などの産業も育ちつつあるのです。
山東半島藍色経済圏の骨格は“一核、2極、3帯、3組団”と呼ばれています。“一核”は青島を中心とし、煙台・濰坊・威海などを骨格とした<胶東半島ハイエンド海洋産業集積区>、“2極”は<黄河三角州高効率生態海洋産業集積区>と<魯南臨港産業集積区>という2つの重要な成長極点、“3帯”は、海洋資源の開発利用効率を高めるため、海岸から近い順に設けられた海岸開発・近海開発・遠海開発という3つの保護ベルト、“3組団”は関係各都市を合理的に配置してグループ化した、[東営-浜州][ 煙台-威海][濰坊-青島-日照]の各グループを指します。
計画では、2015年には山東半島藍色経済圏内の都市化率65%、2020年には70%を達成するという目標が示されていますが、さてどうなるか、今後の動きが楽しみです。

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