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 第488回社会管理

(2011年10月04日)

2011年2月19日、胡錦濤主席は、党中央学校の省部級主要指導幹部向け「社会管理とその革新」特別研究討論班始業式の講話で、「社会管理の強化、革新」の重要性を力説、その主要任務は「社会関係の協調、社会的行為の規範化、社会問題の解決、社会的矛盾の解決、社会的公正の促進、社会的リスクへの対応、社会の安定の保持」であると説明しました。さらに、当面より一層強化と整備に取り組むべき活動として以下の8項目を掲げました。
1.社会管理の枠組み。 2.党と政府が主導する大衆権益擁護システム。 3.流動人口や特殊層の管理と支援。 4.社会の末端の管理と支援システム。 5.公共安全システム。 6.非公有制経済組織と社会組織の管理。 7.情報ネットの管理。 8.思想道徳建設。
既に2004年9月の16期4中全会や17全大会でも登場した「社会の管理体制の革新」と言う言葉を胡錦濤主席がこの時点で強調したのは、中東で発生した反体制活動の中国への浸透に対する警戒心のなせる業でしょう。以後、春の全人代の政治活動報告にも組み込まれ、人民日報では社会管理をテーマに掲げる記事が急増、3月、4月、5月の3ヶ月間の推移を見ると、9本、10本、15本と増加の一途を辿り、中央政法委書記周永康や検察、党宣伝部、さらには各一級行政区の首長などがかわるがわる社会管理に関して論陣を張りました。
経済発展と共に社会構造が複雑化し、様々な矛盾も吹き出します。上記8項目にある流動人口の問題は従来の戸籍管理制度の行き詰まりを如実に表していますし、増大する非公有制経済組織と社会組織にどう網を被せるかも頭の痛い問題です。地域社会の管理も以前の“単位”から“社区”へのモデルチェンジがとうに始まっていて、今では社区に共産党支部のネットワークがくまなく張り巡らされ、事業体の労働組合(工会)と併せ、人民の動向を把握する最大の拠り所にもなっています。
一方、新しい社会管理方法に対する注目すべき論調もあります。「社会管理のコツは管理の外、サービスの中にある」「管理は手段、サービスが目的」「管理は小技、サービスが本道」「管理もサービスのうち、サービスの中に管理があり、サービスするために管理する」「人民大衆が自発的に参加する社会管理こそが本当に有効な社会管理だ」(人民日報2011.3.30辛鳴)。オリンピックや万博で育った民衆の社会貢献意欲を尊重、育成する姿勢が求められます。

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