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 第492回カザフスタンと中国

(2011年11月02日)

今回は上海協力機構の中でも近年富に発展が著しいカザフスタンと中国との関係を見てみましょう。中国とカザフスタンは1992年には国交を樹立し、早期に国境問題も解決、爾来、2002年には<善隣友好協力条約>を、2005年には戦略的パートナーシップの確立を謳った共同声明に調印して交流を進め、昨年、中国はカザフスタンにとって既に第3の貿易相手国になっています。
2011年6月、カザフスタンを公式訪問した胡錦濤主席は新たな共同声明を発表しましたが、この中では2015年に両国間の貿易総額を400億ドルにする目標が示され、<中カ非資源経済領域協力強化プラン>とその<実施計画>を軸に、両国間貿易の自国通貨決済を推進するため双方の銀行が提携し代理業務を行う事、両国が共同でカザフスタンに工業パークを建設する事、ハイテク・技術集約型・省エネなどの分野での協力、中国がカザフスタンのWTO加盟に尽力するなどの項目が掲げられました。
また、1983年に両国の通商窓口として再開放された国境に跨るコルガス地区は、中国側が2010年5月の中央新疆工作座談会で同地区に国レベルの特殊経済開発区を設立する方針を打ち出し、2011年7月1日からは両国が共同管理する「コルガス国境協力センター」が貿易協力の中枢的役割を果たす事になりました。
エネルギー面では、両国間の天然ガスパイプライン第2期工事、原油パイプライン第2期第2段階工事、3本目の中国−中央アジア天然ガスパイプラインの建設といった項目や、太陽光・風力などの再生可能エネルギーでの協力が組み込まれました。交通運輸、特に鉄道では、アスタナ−アルマトイ間の高速鉄道、ヨーロッパに抜ける大陸横断鉄道、中国の精河−伊寧−霍爾果斯(コルガス)鉄道とカザフスタン側の鉄道との接続などがテーマに上がっています。これらの鉄道はカザフスタンの食糧を中国更には第三国に輸出する重要な手段にもなります。
国を跨る河川の場合、メコン河でも見られるように上流の国と下流の国の水に関するトラブルが起こりがちです。そこで両国は水質保護協定や環境保護協力協定を2011年に相継いで締結し、コルガス河では、水流分配実施計画に基づく水利施設が2011年4月に着工されました。2012年は両国国交樹立20周年ですが、さて更なるどんな進展を見せるのでしょうか。

三瀦先生のコラム